今日は発達障害や聴覚過敏のあるお子さんの「両手を解放して発達を促す」という視点から、本当に役立つイヤーマフ5選をご紹介します。
僕が教員としてかかわったお子さんの中には、突然の音に耳をふさいでしまい、本来の力を発揮できない子も少なくありませんでした。
また、手が使えなくなるということは、発達の観点からもデメリットがあります。
イヤーマフの効果を知りたい方、ご検討中の方はぜひ最後までご覧ください。
納得してご購入いただけるお手伝いができると思います!
目次
聴覚過敏の”見えない影響”に気づいていますか?

子どもが耳をふさぐ姿を見て、「音が苦手なんだな」と理解されている方は多いと思います。
でも、ここで立ち止まって考えてみてください。
耳をふさぐことで何が起きているでしょうか?
そう、両手が使えなくなっているんです。
両手が使えないとどんな影響が?
私が支援していた小学2年のケンタくん(仮名)。彼は音に敏感で、常に片耳をふさいでいました。
その結果、、
- 音が気になって集中できない
- 個別の課題学習時に、片手で耳を押さえてもう片方の手で課題をする
- 粘土や楽器演奏など、両手を使う活動で支障が出る
つまり、聴覚過敏は「音」の問題だけではなく、「手の使用制限」という形で学びや発達に大きく影響しているんです。
【研究紹介】イヤーマフがもたらす驚きの変化

聴覚過敏のあるお子さんにとって、イヤーマフは単なる「音を遮断する道具」ではありません。実は「両手を解放し、子どもの本来の能力を引き出す支援ツール」としての側面が、近年の研究で明らかになってきています。
自閉症スペクトラム障害(ASD)や感覚過敏のある子どもたちを対象とした複数の研究で、イヤーマフやノイズキャンセリングヘッドフォンの使用が、単に不快な音を遮るだけでなく、行動面や発達面に様々な良い影響があることが確認されています。
島田療育センターの研究結果(2015-2016)
ASD児13名を対象にした縦断研究では、イヤーマフ使用によって以下のような変化がありました。
- 69%の対象者が「外出時の不安軽減」「授業への参加意欲向上」を経験
- 1日8時間以上使用したケースでは行動面の安定化が明確に
- 他者とのアイコンタクトが平均1.5倍に増加
- 課題持続時間が平均17分から32分へと大幅延長
- パニック発生頻度が週5.2回から2.1回へと減少
- 自発的コミュニケーション試行が1時間あたり3.2回から5.8回に増加
参照:https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/54/1/54_39/_article/-char/ja/
実生活での変化事例
厚生労働省の調査でも、「トイレの流水音が苦手で流せなかった子どもが、イヤーマフをしてから自分で流せるようになった」などの具体的な成功事例が報告されています。
参照:厚生労働省
なぜイヤーマフがこれほどの効果をもたらすのか?
研究者たちは、イヤーマフの効果が単に「音を遮る」だけでなく、以下の複合的なメカニズムによるものと考察しています。
- 交感神経系の活性化抑制 – 不快な音による過剰な緊張状態が軽減
- 注意資源の解放 – 常に音に警戒する必要がなくなり、学習や社会的相互作用に注意を向けられる
- 両手の自由 – 耳をふさぐ必要がなくなり、様々な活動への参加が可能に
(参照:frontiers)
これらの研究結果から、イヤーマフが単なる「防音グッズ」ではなく、発達支援のための有効なツールであることがわかりますね。うまく活用することで、お子さんの学習環境を整え、本来の能力を発揮できるようサポートすることができるのです。
子どもに合ったイヤーマフの選び方

研究が示す通り、音に過敏さがあるなら、積極的に使っていきたいですよね!
では、イヤーマフの選び方をお伝えします。
苦手な音だけでなく、友だちや大人の声も聞こえづらくなっては意味ないので、慎重な検討が必要です!
選ぶ前の予備知識:NRR値とdB(デシベル)とは?
イヤーマフや耳栓を選んでいると目にするNRR値とdB。
NRR値とは、耳せんやイヤーマフがどれくらい音を小さくできるかを表す数字。そして、dBは音の大きさを表す単位です。
デシベルの基準は以下の通り。
・30dB:ささやき声くらい
・60dB:ふつうの会話
・100dB:工事現場の音!かなりうるさい!
例えば、NRR値30のイヤーマフを装着すると、工事現場の騒音もちょっと大きめの会話程度の音量になるということです。
工事現場のdBーNRR値=実際に聞こえてくる音量
上の例で言うと、
100dBー30=70dB
つまり、NRR値は、どのくらい周りの音を小さくさせるパワーがあるかを教えてくれる数字!
ポイント1:遮音性と会話のバランスを考える
遮音性を示すNRR値。数値が大きいほど音を遮断します。
- NRR値22dB前後:教室で使うなら先生の声は聞こえて、不快な環境音だけカットできるこの範囲がベスト
- NRR値25dB以上:電車や商業施設など騒がしい場所や強度の聴覚過敏のある方向け
ポイント2:長く使える快適さを重視
子どもが継続して使えるかどうかは装着感で決まります。
以下を重点的に見れば、失敗しないでしょう。
- 重さ:200g以下が理想的(それ以上だと首・耳への負担が大きい)
- 調整機能:子どもの頭のサイズに合わせられるか
- クッション性:耳が痛くならない柔らかさ
ポイント3:子どもが使いたくなるデザイン
支援現場での失敗例として意外と多いのが、機能は良いけど見た目で子どもが拒否するケース。
- 年少~低学年向け:カラフルで楽しいデザイン
- 高学年向け:シンプルで目立たないデザイン
とはいえ、お子さんによって好みは千差万別でしょうから、実際の選定では子どもと一緒に選ぶのがベストです!
学校や外出でも安心!おすすめイヤーマフ3選

1.小児科医と児童発達支援員の共同開発|FaretoQe(ハレトケ) キッズイヤーマフ
この製品は、子ども医療と療育のプロが共同開発した子ども専用イヤーマフです。
・重い
・かたい
・デザイン微妙
という保護者の声を解決するために、児童発達支援員が保護者の声を聞いて小児科医とともに研究・開発したものです。
特徴
- 適度な防音性(SNR値最大27dB、平均25dB)で必要な声は聞こえる
- 業界トップクラスの超軽量設計(165g)で長時間の使用も快適
- ホルムアルデヒド検査&食品衛生法ダブル検査クリア(2024年ボーケン品質評価機構認定)
- 柔らかい素材で圧迫感が少なく「痛くない」設計
- 折りたたみ可能でリンゴとほぼ同じサイズにコンパクト化
- サイズ調整可能(片側4cmも伸縮)で3歳〜15歳まで長期間使用可能
- アレルギー対応素材使用で敏感肌のお子さんも安心
デメリット
- 他の高遮音モデルと比べると防音性はやや控えめ
- 完全防音ではないため極度の聴覚過敏には物足りない場合も
この製品は、聴覚過敏、自閉症、発達障害、HSC/HSPなど様々な特性のあるお子さんのために特別に設計されています。保育園、児童発達支援施設、放課後等デイサービス、学校などの教育機関でも採用されており、子どもが自ら進んで使いたくなる快適さが特徴です。
また、サイズ調整できるので成長に合わせて長期間使用できる点も〇。
価格は2,480円
高い遮音性|3M 防音 イヤーマフ
この製品は元々産業用に開発された、最高クラスの遮音性能を誇るプロフェッショナルモデルです。
特徴
- 最高レベルの遮音性能(NRR値30dB)で強い騒音環境に対応
- JIS規格適合品で品質と性能が保証されている
- 強固なヘッドバンド設計で安定した装着感
- 長時間使用を想定した設計
デメリット
- 重量が比較的重い(358g)ため子どもには負担になる可能性
- デザインが産業用で子ども向けではない
- 価格が比較的高め
この製品は、特に強い聴覚過敏を持つお子さんや非常に騒がしい環境(工事現場近くの学校など)で過ごす必要がある場合に最適です。
産業用の「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づいて設計されているため、85dB以上の騒音環境でも確実に耳を保護します。
ただし重量があるため、長時間の使用では子どもの首や頭への負担に注意が必要です。
一般的な聴覚過敏対策としては少しオーバースペックですが、できる限り音への保護が必要な場合の選択肢として考慮する価値があります。
価格は3,760円
2. コスパNo1|ra kurasのイヤーマフ
この製品は、聴覚過敏のお子さんのニーズに応える形で小児科医の監修のもと開発されたイヤーマフです。
特徴
- 効果的な遮音性能(NRR値26dB)で必要な音は聞こえる
- 軽量設計(192g)で負担が少ない
- スライド式ヘッドバンドで13段階のサイズ調整が可能(子どもから大人まで対応)
- 弾力性のあるヘッドバンドで圧迫感を軽減
- 柔らかいレザークッションで装着感が良い
- イヤーカップが360°回転し、顔のラインにフィット
- 驚きの価格設定(1,880円)で高性能イヤーマフが手に入る
デメリット
- レザークッションは長時間使用すると蒸れやすい
- 低価格のため耐久性は高価格帯製品より劣る可能性あり
- 付属品が少なめ(収納ケースなど別売り)
- カラーバリエーションが限られている
コストパフォーマンスが非常に高く、他の同等製品と比べて半額程度の価格でありながら、機能性は全く引けを取りません。初めてイヤーマフを試してみたい方にも、複数個所有したい方にもおすすめの価格設定です。
価格1,880円
【実践テクニック】子どもが喜んで使うイヤーマフ導入法

聴覚過敏のあるお子さんに「イヤーマフをつけてほしい」と思っていても、子どもが装着を嫌がることがあります。ここでは、支援の現場で実際に効果を上げている、お子さんがイヤーマフを前向きに受け入れるための具体的な方法をご紹介します。
ポジティブな導入イメージを変える
子どもの気持ちに寄り添ったイヤーマフの紹介方法は、その後の受け入れやすさを大きく左右します。否定的な導入ではなく、ポジティブな印象を持たせることが重要です。
避けたい導入法
- 「うるさいって言うから、これをつけなさい」
- 「騒ぐなら、これをつけてもらうよ」
このような言い方は、イヤーマフを「罰」や「制限」として捉えさせてしまい、子どもの抵抗感を強めてしまいます。
おすすめの導入法
- 「これをつけると、嫌な音から耳を守ってくれる特別なヘッドホンだよ!」
- 「お気に入りのヒーローの特殊装備みたいに、君の耳を守ってくれるんだ」
- 「これをつけると、嫌な音が小さくなって、好きなことに集中できるよ」
- 「音のスーパーパワーを持っている君のために、特別な道具なんだよ」
子どもの興味や関心に合わせた言葉で、イヤーマフが「特別な道具」「味方になるもの」というポジティブなイメージを持たせることが大切です。
段階的に慣らしていく5ステップアプローチ
- まず大人がつけてみせる
- おもちゃのぬいぐるみにつけてみる
- 子ども自身に「5秒だけ」と短時間から試してもらう
- 好きな活動(iPadやお絵かき)の時間に限定して使う
- 徐々に使用時間・場面を拡大する
成功体験を作る
イヤーマフの効果を伝える際には、「音を防ぐ」という消極的な面よりも、「できるようになること」という積極的な面を強調するのが効果的です。
- 「これをつけると、両手で○○できるよ!」
- 「これがあれば、みんなと一緒に△△に参加できるね」
- 「イヤーマフをつけると、□□がもっと上手にできるようになるよ」
子どもが実際に「できた!」という体験を積み重ねることで、イヤーマフは「制限するもの」ではなく「可能性を広げるツール」という認識に変わっていきます。
特に嫌がるお子さんには、「イヤーマフを手に持った瞬間褒める」というアプローチを繰り返し試してください。
耳につけなくてもOK。感覚過敏がある子でも慣れていくものですが、最初に「嫌なもの」と認識させると後が大変。
「せっかく買ったのに」と焦らず、【手に持つ→耳に当てられる→1秒装着できる→5秒装着できる。】などのようにスモールステップでやっていきましょう!
【イヤーマフの長時間使用はNG】年齢ごとの使用時間目安
臨床データに基づく最適使用時間の推奨値が提唱され始めている。発達段階に応じた目安としては
-
就学前児:1日2時間以内(断続的使用の場合)
-
学童期:1日4時間まで(45分使用+15分休憩のサイクル)
-
思春期:1日6時間まで(タスクに応じた柔軟な使用)
このガイドラインは、イヤーマフへの固執(調査対象の31%に認められた)や外耳道炎(23%発生)のリスク管理に不可欠なようです。
コメントを残す