1月に行った音楽の授業ネタをご紹介します。『ひっつきもっつき』『おおきなたいこ』『一月一日』『ゆき』『へんてこおしくらまんじゅう』を使った授業です。本記事を読むと
- 1月の音楽授業ヒントを得られる
- 目標設定の参考になる
これらが得られます。
目次
単元目標例
1月の音楽授業名は「お正月音あそび」です。
単元目標は以下の通り。
- 教員と一緒に歌詞に合わせて太鼓を鳴らす。【音Aア(ウ)㋐1段階】
- 器楽の活動を通して、拍や曲の特徴的なリズムに気付く。【音Aイ(イ)㋐2段階】
1月の音楽:本時の流れ解説
1月のメイン行事はお正月ですね。
冬休みに家庭で体験してくるお子さんも多いはず。
日本の文化であるお正月。
導入でどんなお正月を過ごしたか子どもたちに聞いてみてください!
では、1月の音楽をご提案します。
- ふれあい遊び『ひっつきもっつき』
- 器楽『おおきなたいこ』
- 身体表現
『一月一日』
『ゆき』 - 鑑賞『へんてこおしくらまんじゅう』
ふれあい遊び『ひっつきもっつき』
『ひっつきもっつき』は、歌詞に合わせて身体を動かすふれあい遊びです。この活動では、「おしり」「おでこ」「おなか」など、身体の部位を指定してふれ合うことで、子どもたちは音楽を楽しみながら身体表現を深めます。歌詞の繰り返しとリズムに合わせて身体を動かすことは、子どもたちに音楽の楽しさを感じさせるとともに、音楽と身体の連携を学び、相手とのスキンシップを楽しむ大切な機会となります。
活動の目的は以下の通りです。
- 身体表現とリズム感の養成
『ひっつきもっつき』では、音楽に合わせて身体を動かすことが求められます。歌詞に合わせて「おしり」「おでこ」「おなか」などを触る動きをすることで、リズム感を学ぶだけでなく、スキンシップを通してお互いの信頼関係を結ぶのに適しています。 - 身体の部位の認識と動作の調整
歌詞に登場する「おしり」「おでこ」「おなか」といった身体の部位に触れることで、子どもたちは自分の身体の部位を認識し、その動作を調整することを学びます。この活動を通じて、身体的な自己認識や身体の動きの調整力を育むことができます。 - 協調性の促進
ふれあい遊びの特徴として、子どもたちが他の子どもや支援者と手をつなぐなど、歌詞に合わせて直接ふれ合うことが挙げられます。これは、他者との一体感を感じさせ、協調性をうながします。特に特別支援学校では、友達とのふれあいが大切であり、遊びを通じて心のつながりを深めることができます。 - コミュニケーションの促進
言葉だけでなく、身体を使ってコミュニケーションを取ることができる点も大きな特徴です。身体を使って「ぺったんこ」の歌詞に合わせた動作をすることで、言葉では伝えきれない感情や意思を表現することができ、子どもたちのコミュニケーション能力を育てることができます。 - 楽しさと音楽の重要性の認識
『ひっつきもっつき』は、単に音楽のリズムに合わせて動くことを楽しむだけでなく、音楽自体が心地よいものであることを実感させます。歌詞のリズムやメロディに乗って身体を動かす楽しさを体験することで、音楽に対する興味を育むことができます。
器楽『おおきなたいこ』
歌詞に合わせて打ち分けることを目標にしたり、仲間と一緒に演奏して、自分の役割のところだけ鳴らすなど個々の目標に応じて活動を決められるのもこの楽曲のメリットです。
活動の意義
『おおきなたいこ』は、大太鼓と小太鼓の特徴的な音の違いを、歌詞のフレーズに合わせて体験できる楽曲です。「どーんどーん」「とんとんとん」という歌詞の響きが、それぞれの太鼓の音色やリズムを直感的にイメージさせるのでオススメです。
この活動を通じて、子どもたちは音楽を「歌詞→音→動作」という形で紐づけて認識し、音楽の楽しさや表現の幅広さを学ぶことができるのです。
また、特別支援学校の音楽授業では、こうした具体的な言葉と楽器の音を結びつける活動を通じて、視覚・聴覚・触覚をバランスよく刺激し、子どもたちの感覚の発達を促すきっかけにもなります。
活動の目的
- 音の違いを体験し感覚を養う
大太鼓と小太鼓の音の違い(音の高さ、音量、響きなど)を実際に感じ取ることで、音楽的な感覚が育まれます。 - 楽器に触れることで自己表現を促進
楽器を実際に叩くことで、自分自身の力加減やタイミングで音を作り出す楽しさを体験します。これは、子どもたちが音楽を通じた自己表現を学ぶ第一歩となります。 - リズム感の育成
歌詞に合わせて太鼓を鳴らす活動を通じて、拍やリズムに意識を向けることができます。特に「どーんどーん」「とんとんとん」のような繰り返しのリズムを体験することで、リズム感やテンポ感を養うことができます。 - 身体と音の連携を学ぶ
太鼓を叩く際の動作は、視覚(楽器の位置や動き)、聴覚(音)、身体(叩く動き)の連携が求められます。つまり、器楽活動を通して、耳と手の協応、目と手の協応といった感覚と運動を連携させる機能を高めることにもつながるんです。 - 他者との協調性を育む
大太鼓と小太鼓を複数の子どもが担当する場合、互いにリズムを合わせる協調性が求められます。特別支援学校では、こうした音楽を通じたチーム活動が子どもたちの社会性を育む良い機会になりますよね。
身体表現『一月一日』『ゆき』
パラシュートバルーンを使った音楽活動は、視覚や触覚を通じて楽曲の情緒を体感できるだけでなく、感覚統合や協調性の発達を促します。
活動方法
- 「一月一日」
楽曲の厳かな雰囲気を楽しむ活動です。まず、大きなパラシュートバルーンを広げ、その中心に子どもを座らせます。大人たちはバルーンの端を持ち、音楽に合わせてゆっくりと上下に揺らします。 - 「ゆき」
楽曲の軽やかで遊び心のある雰囲気を体験する活動です。バルーンを床に敷き、その上に子どもたちを誘導して座らせます。子どもがバルーンの中心に乗った状態で、大人がバルーンの端を持って揺らしたり回したりします。
活動の意義
「一月一日」
この活動では、楽曲の厳かで落ち着いた雰囲気を、パラシュートバルーンを用いて視覚や触覚を通じて体験します。バルーンのゆっくりとした上下運動により、音楽の静かなリズムや雰囲気を感じ取りながら、安定感とリラックスを味わえます。新年を象徴するこの楽曲を使うことで、子どもたちに季節の変化や文化的な意味を伝えるきっかけにもなります。
「ゆき」
こちらは、楽曲の軽快で遊び心のある雰囲気を活かした体験活動です。床に敷いたバルーンの上に子どもを座らせ、大人が揺らしたり回したりする動きが、雪が舞うような軽やかさや楽しさを再現します。子どもたちはバルーンの動きに身を任せながら、音楽をより動的かつ感覚的に楽しむことができます。
活動の目的
- 楽曲の情緒を身体で感じる
「一月一日」ではお正月らしい荘厳でゆったりした曲調を、「ゆき」では季節感のある軽やかな雰囲気を、バルーンの動きや揺れを通じて身体全体で味わいます。このように、音楽と身体の動きを結びつけることで、楽曲の情緒や季節感を深く感じることができます。 - 運動能力の向上
バルーンを揺らす、回すといった動作に参加することで、手指や腕の運動能力を育むことができます。床に敷いたバルーンに乗る活動は、バランス感覚や体幹の強化にもつながります。 - 社会性の育成
パラシュートバルーンという大きな道具をみんなで共有し、協力して動かす活動は、他者とのコミュニケーションや協調性を養います。周囲の動きに合わせたり、他の子どもたちと役割を分担したりすることで、自然に社会的なスキルを学べます。 - 感覚統合の促進
パラシュートバルーンの揺れや回転を体験することで、視覚・触覚・前庭感覚(バランス感覚)に働きかけ、感覚統合の発達を促します。特に特別支援学校の児童にとって、こうした多感覚的な刺激は身体認識や感覚の調整を学ぶのに役立ちます。
鑑賞『へんてこおしくらまんじゅう』
へんてこおしくらまんじゅうは、たぬき、うさぎ、くま、かえる、ねずみ、ぶたの6匹がおしくらまんじゅう遊びをする物語です。しかし、「おしくらまんじゅうおされてなくな」とうたっているうちに、身体が入れ替わってしまいます。
パネルシアターのセットは、キャラクターの顔と身体が分離できるようになっているので、演者が歌いながら動物の身体を動かしていきます。
最終的には、物語の中で動物たちは元の体に戻り、オチを迎えます。ユーモアあふれる内容で、子どもたちに笑いと驚きを提供する楽しいパネルシアターです。
活動の意義
この活動は、音楽と視覚的な表現が融合したパネルシアターの形式を取り入れ、子どもたちが音楽の魅力を感じ取りながら、物語やキャラクターに対して興味や関心を深めていくことができます。
また、物語の中で動物たちが体と顔を入れ替えるユーモラスな展開に触れることで、子どもたちは感情を表現したり、他者の感情や反応に共感したりする機会が増えます。このプロセスを通じて、感情を表現する力や共感力が育まれます。
活動の目的
音楽と物語の楽しさを見つける
『へんてこおしくらまんじゅう』のパネルシアターを通じて、音楽と物語の表現を聴きながら、くり返しの歌詞に気づき、教師や友達と一緒に歌うなどの楽しみを見出すことができます。
音楽を通じた表現力の発見
物語の展開に合わせて音楽を聴き、感じたことを体験として表現することで、自己表現を促します。さらに、鑑賞後に実際にみんなで「おしくらまんじゅう」をやってみることで、音楽と身体の結びつきがより深まります。
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