発達障害の子どもの偏食改善指導ステップとうまくいくコツ

偏食を少しずつ改善していくことで、集中力が育ち、学習にも前向きに取り組める可能性があります。そこで、今回は偏食改善に向けて、安心して食事を楽しめるようにする工夫や、無理なく食べられるものを増やす方法をお伝えします。

 なぜ偏食をなおすことが大切なのか

偏食改善の目的は、子どもが健康的に育つことですよね。

偏食があると体調が崩しやすいことは言うまでもないので、ここでは、脳機能の面から解説していきます。

偏食の弊害例:セロトニン不足とは?

脳の神経伝達物質の1つであるセロトニン。

これは、集中力や自己コントロール力と関係している物質です。

偏食のあるお子さんは、セロトニン不足によって成長を遅らせてしまうことも考えられます。

もちろん、偏食があることで、セロトニン以外にも不足するものはたくさんありますが、ひとまずセロトニンを中心にお伝えしますね。

セロトニン不足で認知発達しにくくなる?

セロトニンが不足すると

  • 集中力が続かない
  • 指示が伝わりにくくなる
  • イライラしやすくなる

このような弊害が出てきます。

しかもセロトニンは、大豆食品やバナナなどトリプトファンを含む食材を取らないと体内で生成されない物質なんです。

ですので、偏食のある子は、指示を聞いたり、課題を最後までやり遂げたりする能力も低下しやすくなります。

結果、認知発達に必要な学習を行っても、身にならないことも。

もちろん、もともと神経伝達物質の伝達に障害があるので、偏食改善ですべて解決するわけではありません。発達障害の特性に拍車をかけて集中力が続きにくくなるイメージでいてください。

だから、少しずつ食べられるものを増やしていくことが大切なんです。

食事で絶対に守るべき2つのルール

偏食をなおしていくためには、次の2つのルールを守ることがポイントです。

1. 時間を決める

自閉症のお子さんにとって、生活リズムが一定であることは重要です。
物事がスムーズに進みますから。

ですので、食事も同じ時間にすることで、安心して食事に向かうことができるのです。

それに、朝ごはんは7時、昼ごはんは12時、夕ごはんは6時と決めておくと、その時間になると自然とおなかがすくようになります。

偏食改善に向けて、安心して食べられる環境づくりの1つとしてやってみてください。

2. 座って食べる

場所が変わるとその場に座っていられない子もいますよね。ですが、立ち歩きながら食べることを許してはいけません。

マナーの面だけでなく、しっかり座って食べることで「今は食事の時間なんだ」と感じやすくなり、食事に向かう気持ちをつくれます。

具体的な偏食改善の2ステップ

最初から無理に新しい食べ物を食べようとするのではなく、段階的に進めることが大切です。ここでは、偏食改善のための具体的なステップを紹介します。

ステップ1:好きな食べ物から始める

まず、好きな食べ物からスタートしましょう。偏食改善の第一歩は、食事を楽しむことです。「食べるのが楽しい」と感じられると、少しずつ他の食べ物にも興味を持ちやすくなります。

また、自閉症のお子さんは食べる場所や一緒に食べる大人が変わるだけで落ち着いて食べられなくなることがあります。

のちのち、環境が変化しても食べられるようにするために、まずは好きな食べ物を、どんな場所でも、どんな人とでも食べられるようにした方が良いと考えています。

ステップ2:食べられる食品を少しずつ広げる

次に、少しずつ新しい食品に挑戦していきます。いきなり新しい食べ物を試すのではなく、「食べられる食品をちょっとだけ広げる」という意識で進めるのがポイントです。

食べ物の広げ方は2つ。

  • 似た食感の食品に挑戦してみる
  • 同じ色の食品から試す

今食べられる食べ物の見た目や食感をヒントにいろいろ試していきましょう。例えば、白いごはんが食べられるなら、次は白いパンやお豆腐、がチャレンジしやすいかもしれません。

コラム:偏食の原因は主に3つ!

  • かむ力や飲み込む力が未発達
  • 口の中や味覚に過敏さがある
  • 味への強いこだわりがある

偏食支援のポイント4つ

偏食改善を進めるとき、子どもが少しずつ自分から食べようとする気持ちを育てることが重要です。ここでは、支援する際に押さえておきたい4つのポイントについて説明します。

信頼関係の構築

食べることに苦手意識がある子どもにとって、安心して「食べてみようかな」と思えるのは、信頼できる人がそばにいるときです。そのため、無理に食べさせようとするのではなく、子どものペースに合わせたアプローチを心がけましょう。

もちろん、普段の遊びも信頼につながるのでたくさんスキンシップをとったり肯定的な言葉かけを意識してみてください。

大人がおいしそうに食べる

子どもは大人が楽しそうに食べている姿を見ると、食事への興味がわきやすくなります。

例えば「これおいしいね!」と楽しそうに食べる様子を見せると、子どもも「自分も食べてみようかな」という気持ちになりますよね。無理に勧めるのではなく、大人が自然に食べている姿を見せることで、食べ物への関心が高まります。

苦手なものをチャレンジする日を事前に伝える

先ほど、「好きな食べ物だけ食べさせるだけでOK。」とお伝えしましたが、一方で「どのように苦手なものもチャレンジさせていくのか」疑問に思いますよね。

いきなり、「今日から苦手なものを1口食べたら好きな物食べていいよ」と伝えても拒否するのは目に見えています、、。

これを解決する方法が「事前にチャレンジする日を伝える」というやり方です。

「今週の土曜日は、新しい野菜に挑戦してみよう」のように、事前に伝えておくと、心の準備ができます。

だからと言ってその日に食べられるわけではありませんので、初日は「苦手なものにチャレンジするやりとりをする」くらいの目標でOKです。

目標は1つずつクリアしていく

偏食のある子は、食べこぼしやスプーンの握り方など気になることがたくさんあると思います。
ですが、一つずつ確実に達成していくことが大切です。

大人が焦らないために、優先順位をつけるのはおすすめ。

すべての目標を一度に達成しようとすると、指示や注意が多くなり子どもも支援者も疲れてしまいますよね。

 

「まずは3種類の食べ物を食べられるようにしよう。」

「これができたら、次はたべこぼしをしないように支援しよう。」

「たべこぼしも減ってきたから、さらに食べられるものを増やそうか。」

 

などのように、途中のゴールを作って少しずつ取り組んでいきましょう。

まとめ

偏食改善は、一朝一夕に進むものではありません。

信頼関係をつくることと、楽しい食事を心がけて数年単位で進めていきましょう。

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