二次障害とは?発達障害の二次障害を防ぐ・治す対策

  • 最近暴言を吐くようになった
  • 不登校になって家に引きこもりがちになった

あなたのまわりに、元気をなくして学校に来られない子やいつもイライラしている子がいませんか?

そのような不安定な行動はは、じつは「二次障害」と呼ばれる心のSOSのサインかもしれません。
発達障害の特性を理解し、早めにサポートを始めることで、子ども自身だけでなく、家族や友だちまで笑顔を取り戻すきっかけになります。ここからは、どうすれば二次障害を防ぎ、乗り越えていけるのか、一緒に考えてみましょう。

目次

発達障害の二次障害とは?

発達障害には、生まれつき脳の発達に特性のある一次障害と、その特性ゆえに後から心の問題として現れてくる二次障害があります。
とはいえ、二次障害は脳の機能的な障害が関係するのではなく、周囲との関係がうまくいかないことなどからくるストレスが原因で、精神的な不調として表れます。

二次障害は以下のような症状や行動を指します。

  • 不登校/引きこもり
  • 反抗挑戦症
  • 不安障害/うつ症状
  • 自傷行為

一見わがままのように見えるものもありますが、心が発するSOSサインです。
時間が解決することはほとんどないので、症状を理解して対策を学びましょう。

不登校・引きこもり

  • 朝になるとお腹が痛くなる
  • 制服を着るとパニックになる

発達障害のある子どもの中には、場の雰囲気に合わない発言をしたり、感情的になる場面が多かったりするなど集団になじめない子もいます。

集団生活を乱す存在とレッテルを貼られると、どうしても友だちとのコミュニケーションが減ったりときにはいじめを受けたりすることも。

もちろん、誰にでもなじめるクラスづくりをすることが担任の役割ではありますが、うまくいかないケースも少なくありません。

こうした環境の中で自己肯定感が下がったり、相談できずに抱え込む状態になったりした結果、不登校につながります。

反抗挑戦症

反抗挑戦症とは、教師や親などの大人に対して反抗的・挑戦的な態度を取ったり、社会のルールや約束を守ろうとしなかったりする状態が続くことを指します。

発達障害の特性ゆえに生まれるストレスや周囲との衝突から自己肯定感が下がり、二次障害としてあらわれるケースが少なくありません。

不安障害やうつ症状

些細なことで不安になったり、気分が落ち込んだりします。また、やる気が起きずに、イライラするなどの症状も見られます。

発達障害のある子どもが、周囲とのコミュニケーションや学習面などでうまくいかないことが重なり、ストレスをため込むことで引き起こされます。

自傷行為

頭を叩く、腕をつねるなど、自分の体を傷つける行為に及ぶことがあります。心の叫びを表しているサインかもしれません。

これは、単に「痛みを感じたい」「注目を集めたい」といった理由ではなく、

  • 自分の気持ちをうまく言葉で表せない
  • どう対処していいかわからない

という葛藤や助けを求めるサインであることが多いのです。

よく「言いたいことを伝えよう」とも言われますが、言葉が未熟のため、自分の気持ちを表現したり、相談したりすることの苦手さもあることは理解しておきましょう。

子どもによっては、批判された経験から伝えることが怖くなってストレスがたまり、自分をコントロールできなくなった結果、自傷行為をするケースもあります。

見逃さないで!二次障害の6つの兆候

上記で紹介した自傷行為や暴言暴力などは、二次障害の深刻な状態です。子どものストレスに気づかなかったり「努力すれば解決する」などとアドバイスばかりしたために起こります。

ですので二次障害の兆候を知っておけば、重大な二次障害に至る前に防げることも多々あります。

日常生活の中で、以下のような兆候が見られたら要注意です。

  • 身体的な変化(頭痛/腹痛/睡眠障害)
  • 行動変化(暴言暴力/生活習慣の乱れ)
  • 不安定な情緒
  • 学習意欲の低下
  • 自虐的な発言の増加
  • 対人関係の急激な変化

早めに気づいて適切に対処することで、深刻化を防ぎ、子どもの幸せを守ることにつながります。

身体的な変化(頭痛/腹痛/睡眠障害)

二次障害の兆候として、まず体の不調が表れます。
病院で検査しても「異常なし」と言われる場合、ストレスや不安が原因の可能性が高いでしょう。

  • 頭痛・腹痛が増える
    朝起きたときに頭痛や腹痛を訴えるようになり、学校に行けなくなるケースがあります。「怠けているのでは?」「仮病?」と疑ってしまいがちですが、実は心理的な負担が症状となって現れているかもしれません。

  • 睡眠リズムの乱れ
    夜なかなか寝付けない、朝早く目が覚める、夜中に何度も目が覚めるなど、睡眠の質が下がっていると感じたら要注意。十分な睡眠がとれない状態が続くと、さらに心身のバランスを崩しやすくなります。

行動変化(暴言暴力/生活習慣の乱れ)

二次障害の兆候として、子どもの行動パターンが急激に変わることがあります。特に、突然の暴言暴力や生活習慣の乱れは、内面的な葛藤のサインともいえます。

  • 突然の暴言・暴力
    これまで大きな問題行動がなかった子が、急に暴言を吐く、周囲に暴力をふるうといった激しい行動を取るようになる場合があります。
    周囲からは一時的な反抗期で成長の証、大人になったら落ち着くだろう」とも受け取られがちですが、今までの過度の干渉や失言が積み重なり自己肯定感が下がった結果なのであれば、長期化するでしょう。

  • 生活習慣の乱れ
    二次障害の兆候として、生活習慣が大きく乱れるケースも少なくありません。昼夜逆転したり、食事量が減ったりすることがあります。こうした変化は、ストレスや不安が表面化したサインと考えられます。

不安定な情緒

二次障害の典型的なサインとして、感情の起伏が激しくなったり、逆に無気力でぼーっとしてしまうなど、感情コントロールがうまくいかなくなる状態が挙げられます。

  • 激しい怒りや泣き出し
    ちょっとしたきっかけで泣き出す、怒りが爆発するなど、一見、些細なことで大きく感情が揺れ動くようになります。本人も「なぜこんなにイライラするのかわからない」という状態が続きます。

  • 無関心・無気力
    逆に、これまで楽しんでいたことや好奇心を示していたことに興味がなくなり、表情が乏しくなるケースもあります。興味関心の低下や無気力が続くと、うつ症状のリスクが高まります。

学習意欲の低下

これまで積極的に宿題や学習に取り組んでいた子が、突然「勉強なんてしたくない」「学校に行きたくない」と言い始めることがあります。これは、単なるサボりや甘えではなく、心のエネルギーが落ちているサインかもしれません。

  • 宿題やテストへの無関心
    成績に対する興味がなくなり、提出物が出せなくなる、テストを放棄してしまうといった行動が出てくることがあります。周囲の大人が「怠けている」と判断して叱ってしてしまうと、さらに悪循環に陥る恐れも。

  • 学校そのものへの拒否感
    学習意欲の低下が進むと、登校拒否や不登校につながる可能性もあります。背景には、「先生に叱られてばかり」「友人関係がうまくいかない」など、学習以外の不安も潜んでいることが多いです。

自虐的な発言が増える

「自分なんていないほうがいい」「どうせ何をやってもダメだ」といった、自分を否定する言葉は要注意です。これは自己肯定感の下がっている状態なので、深刻化すると自傷行為や自殺願望につながる可能性もあります。

  • 強い自己否定や絶望感
    周囲から見ると「そんなに思いつめなくても…」と感じる場面でも、本人にとっては大きな失敗や恥と捉えてしまい、過度に自分を責めてしまうことがあります。

  • 自傷行為や自殺願望への発展
    自虐的な言葉を繰り返し口にするうちに、実際にリストカットなどの自傷行為に至るケースもあります。うつ症状と衝動性が組み合わさってしまうと、より自殺に至る確率が上がるとの報告もあるので、早めの対応が必要です。

対人関係の急激な変化

発達障害の子どもは、コミュニケーションに苦手さを抱えていることが多いですが、二次障害が進むと友人や家族との関係性がさらに悪化するケースがあります。これは、本人のストレスや不調が余計にコミュニケーション力を低下させ、周囲とのトラブルを増やしてしまうためです。

  • 急に友だちが減った・孤立している
    以前は遊んでいた友だちが離れていく、または本人が友だちを拒否し始める場合は、何らかの心の変化があったと考えられます。孤立が進むと、さらにストレスが溜まりやすくなります。

  • 家族との口論や衝突が増える
    自分でもコントロールできない不安やイライラを、最も近い存在である家族にぶつけてしまうことがあります。親や兄弟姉妹との関係がギスギスし始めたら、早めにその背景を探りましょう。

対策のポイント

すぐに解決したいという気持ちから、学校の様子や「つらいことは?」「これからどうしていきたい?」と聴いてしまいますが、我慢が必要です。

多くの場合、ゆっくりと傷をため込んでしまった結果として、二次障害の症状が表れているので、解決もまた、時間がかかるものです。

焦らず、まずは子どもと対話をする時間を作りましょう。

最初は「おはよう」のあいさつや、ご飯を食べて「おいしいね。」

これだけでもいいでしょう。

他人や自分を傷つけることをしないのであれば、じっくり見守り、親自身が感じる将来の不安をいったんワキに置いて、今の子どものあるがままを認めていくことが先決です。

徐々に、親子の信頼関係を取り戻し、自分のことを話すようになります。

もちろん、必要に応じて病院の診断を受けるのも一つの手。介入できる範囲でカウンセリングやストレスを軽減する生活リズムの見直しを検討しましょう。

ただし、病院で解決できないパターンもたくさん聞きました。
後述しますが、必ずしも病院やカウンセリングが最善策ではないことを知っておいてください。

なぜ二次障害になる?6大原因を解説

上記で述べた症状は、発達障害の有無に限らず思春期にはよく見られるものもありますよね。

でも、発達障害のお子さんは、本人の努力不足や親のしつけの問題にされて、サポートが得られない環境が原因で深刻な二次障害になるケースがあるのです。

適度なストレスは成長につながりますが、過度なストレスで起こる二次障害は避けるべきでしょう。

ここでは、二次障害を引き起こす6つの主な原因を「環境要因」「内的要因」に分けて解説していきます。

環境要因

環境要因とは、周囲の人たちの対応やサポート体制のあり方をさします。
発達障害がある場合、二次障害を防ぐためにもこの環境要因の理解が特に重要なので、1つずつ丁寧に解説します。

①周囲の理解不足

②不適切な指導環境

③過剰な期待プレッシャー

④話を聴いてもらえていない

周囲の理解不足

発達障害のある子どもは、コミュニケーションや学習、行動パターンなどで独特の困難を抱えていることがあります。しかし、その特性が周囲の大人や友だちに理解されず、誤解や偏見の対象となってしまうと、本人は「自分は否定されている」「誰もわかってくれない」と強い孤独感を抱えることに。こうした思いが蓄積すると、やがて自信を失い、二次障害のきっかけとなります。

不適切な指導環境

学級の人数が多すぎたり、教師が個々の特性を把握できる時間や余裕がなかったりすると、一人ひとりに合った指導やサポートが行き届きにくくなります。結果として、子どもは学習面や対人面で失敗を重ねやすくなり、自己肯定感の低下につながります。「どうせできない」「先生に怒られてばかり」という気持ちが強まると、学校に行きたくない、自分のことは放っててほしい(反抗心)という行動に発展し、二次障害を招いてしまうのです。

過剰な期待とプレッシャー

「もっと頑張ればできる子」「周りと同じようにできるようになってほしい」といった、本人の特性に合わない過度な期待やプレッシャーがかけられると、子どもは常に大きなストレスを感じます。失敗するたびに「こんなに期待してもらっているのに…」と自分を責めたり劣等感を感じたりし続けることで、心身ともに疲労。結果として、不安障害やうつ症状、自傷行為などの二次障害が表面化するリスクが高まります。

話を聴いてもらえていない

僕らは人の話を聴いているようで、実は全然聴いていません。

「いや私は相づちを打って、しっかり聞いている」という感覚ですら、思い込みの可能性があるのです。

例えば、頭の中で「それはあなたが悪いよね」など反論しながら聴いていませんか?

「次はこれを伝えよう。」「さっきの話は私にも経験があったな」のように自分の頭の中で自分と対話していませんか?

誰しも身に覚えはあるはずです。(僕もあります)

もちろん、この聴き方が二次障害につながるわけではありませんが、極端に話をさえぎったり、的外れな返事をしたり、相談に対して「あなたにも悪いところがある」と判断しながら聴いていたとすれば、たとえ親子であっても心の距離が離れていき、孤独感が増えていくのです。

コラム:なぜ人はいじめるのか

人は集団生活で生き延びてきました。
個性を発揮して勝手な行動を取られると命の危険にさらされる環境が何千年と続いてきたのです。このように、古代から生き延びるために集団生活を優先するように脳にプログラムされているため、多様性を認める教育をしなければ人は、いじめを通して排除しようとします。いじめを許すという主張ではなく、教育として伝え続けなければ発達障害のある方やLGBTQなどのマイノリティは、簡単に排除の対象となってしまうのです。

内的要因

内的要因とは、本人の課題となる部分。
環境要因を整えるとともに、内的要因も長期的に払拭する必要があります。

⑤特性への自己嫌悪

⑥ストレス対処スキルの未発達

特性への自己嫌悪

発達障害の特性は、本人には「なぜ自分だけできないのか」「みんなと同じように振る舞えないのか」という強い劣等感としてのしかかります。周囲に責められていなくても、自分自身で「自分は普通じゃない」「周りに迷惑をかけている」と思い込み、自己否定に陥りやすいのです。

周りのフォローがなく、自己嫌悪が続くと反抗挑戦症や引きこもり、自傷行為などにつながりやすくなります。

ストレス対処スキルの未発達

発達障害の子どもは、感情コントロールが苦手だったり、トラブルが起きたときの切り替えや対応方法がわからなかったりしがちです。

一見よくある小さなストレスでも敏感に受け取ってしまい、うまく発散できないまま心の限界が訪れます。

とらえ方を広げたり、誰かに話をしてスッキリできればいいのですが、すぐには難しいですよね。
このような未発達に加えて、さらに周りから責められると、より二次障害を引き起こしやすくなります。

今日からできる二次障害予防法

二次障害はいきなり深刻化して表面化するのではなく、少しずつ否定的な感情になる場面が積み重なって悪化していくことがほとんど。

だからこそ、大人が適切なサポートをしたり支援環境を整えたりすることで、二次障害の予防や早期対応が可能になります。

ここでは、

  • 家庭でできるサポート
  • 学校との連携ポイント
  • 専門家に相談すべきタイミング

これらを中心にご紹介します。

家庭で実践できる7つの対策

  • 子ども合わせたコミュニケーションを見つける
  • ただ聴く
  • 成功体験を積ませる工夫
  • ストレスサインの早期発見法
  • スモールステップ目標設定
  • セルフケアの教え方
  • 親のメンタルケア

もちろん、学校でも共通する支援方法です!

 子どもに合わせたコミュニケーションを見つける

発達障害の特性は子どもによって異なり、コミュニケーションの仕方や情報の受け取り方もさまざまです。理解できない状況が続くのもストレスの原因になるので、たとえば、言葉での指示が伝わりにくい子には視覚的に示す(絵や文字、スケジュール表など)工夫をするとストレスなく理解させることができます。

  • 短く・具体的に伝える
    「片付けをしなさい」ではなく、「床にあるおもちゃを箱にしまおうね」といった具合に、やるべき行動を具体化します。
  • 肯定的な声かけを優先する
    「早くやりなさい」「なぜできないの?」と否定的に叱るのではなく、「ここまで頑張れたね」「手伝おうか?」といった前向きな言葉かけを心がけましょう。

ただ聴く

原因のところでも解説した通り、人の話を聴くのは意外と難しいこと。でも、人として尊重されていると感じるのもまた、誰かに安心して自分のことを話しているときではないでしょうか。

日ごろから、良いこと・悪いことと判断せず、相手の話をただ聴く。
できれば「そのときはどんな気持ちだったの?」などのように感情を引き出すような質問をすると、子どもは安心を感じることができ、二次障害の予防につながります。

成功体験を積ませる工夫

失敗が続くと、子どもは自己肯定感を失いがち。小さな成功体験を重ねることで「自分にもできることがある」と実感し、二次障害のリスクを下げることができます。

  • 難易度を調整する
    子どもの得意不得意を見極め、少し頑張れば達成できる課題を用意してあげましょう。
  • 達成できたら言葉や形でほめる
    「すごいね」「頑張ったね」と声をかけるだけでなく、シールを貼るなど視覚的にわかる形で褒めると、モチベーションがさらにアップします。
  • 動作を分解する
    例えば着替えが遅くても、「頭までかぶるまではできたね!」「服を取ってくるのは自分でできたね」と細かい動作に分けると褒めるポイントが見つけやすくなります。

ストレスサインの早期発見法

二次障害の兆候は、身体症状(頭痛、腹痛、睡眠障害など)や行動変化(イライラ、引きこもり、過度な依存など)として現れることが多いです。普段から子どもの様子を観察し、小さな変化にも気づけるようにしておきましょう。

  • 日々の会話を大切にする
    夕食時や就寝前など、落ち着いて話せるタイミングを見つけ、「今日は何か困ったことあった?」「明日はどんな一日にしたい?」と軽く聞いてみてください。
    大人はつい、育てなきゃと思って注意しがち。
    でも、ただ子どもが話しやすいように相づちをうったり「そのときはどんな気分だったの?」と質問をしたりすると信頼して本音を話すようになりますよ。
  • 身体の不調を軽視しない
    何度も頭痛や腹痛を訴える場合は、仮病ではなく、心因性の不調が隠れている可能性もあります。定期的に病院や専門家に相談して原因を探ることが大事です。
    また、仮病であっても、充実感があれば仮病を使う必要はないので「何か問題を抱えているかも」という視点は持っておきましょう。

スモールステップ目標設定

発達障害をもつ子どもにとって、一気に大きな目標を設定すると挫折感を味わいやすくなります。小さな目標を区切りよく設定し、少しずつ達成していくステップを組み立てましょう。

  • 朝の支度が苦手な場合
    「7時に起きる」「7時半に家を出る」と一括りにするのではなく、
    1. 目覚ましが鳴ったら布団を出る
    2. 洗面所に行って顔を洗う
    3. 着替える

…といったように、やるべき行動を分割して伝えると取り組みやすくなります。

セルフケアの教え方

感情コントロールやストレスへの対処スキルは、子ども時代から少しずつ学んでいく必要があります。「自分で気持ちを落ち着かせる方法を持っている」ことは、二次障害予防にとても大きな効果があります。

  • 深呼吸やリラックス方法を練習
    怒りや不安が高まってきたときに「深呼吸しよう」「一度トイレに行って水を飲んで落ち着こう」など、シンプルで即効性のある方法を教えてあげるのがおすすめ。
  • 逃げ場を用意しておく
    家庭の中に落ち着けるコーナーや、自分一人で音楽を聴ける時間を確保するなど、上手にストレスを解消する環境を整えてあげましょう。
    また、「逃げてもいい」という価値観も心の支えになります。

親もメンタルの安定を保つ

発達障害のある子どもを育てることは、やはり大変です。
少なからず自分の時間や精神を犠牲にしてきた方もいるのではないでしょうか。

中には自分の子育てを責める方も。

でも、そのような状態では子どもも安心できません。

勇気のいることかもしれませんが、自分の時間を取ったり、自分の気持ちを整理したりする時間、友人と話す時間を取ってくださいね。

親御さん自信が、自分を満たすことで、心から子どもを支えられるパートナーになれると僕は考えています。

学校との連携で予防

発達障害の支援では、子どもが混乱しないように一貫させる必要があります。学校では落ち着いているけど、放デイでは暴言が多いというケースもあります。

完璧な環境を用意することはできませんが、子どものストレスと深刻な二次障害を防ぐためにも3つのポイントを押さえて連携を図りましょう。

  1. 定期的な情報交換
    子どもの学習状況や友だちとの関係、ストレスを感じていそうな場面について、家庭と学校で情報を伝え合うことで早期発見・早期対応が可能になります。
  2. 支援・配慮の具体化
    「座る席を工夫する」「休み時間に一人になれるスペースを用意する」など、発達障害の特性を踏まえた具体的な支援を話し合い、実行してもらうことが大切です。
    また、今まで行ってきた支援もぜひ共有しておきましょう。
  3. 先生と親で方向性をそろえる
    家庭でやっているスモールステップの取り組みや、どんな褒め方・声かけが効果的なのかを学校側と共有することで、子どもに一貫性のあるサポートを提供できます。
    特に言葉かけは、支援者の価値観に左右されやすい部分。
    うまくいかなかった声掛けがあれば必ず共有してください。

専門家の活用タイミング

  • 家族や学校だけでは対処しきれない
  • 子どもの不調が長引いている
  • 自傷行為や不登校など深刻な状態が続いている

などの場合は、早めに専門家へ相談しましょう。
主な相談先を3つ紹介します。

  1. 医療機関(児童精神科・心療内科など)
    うつや不安障害、自傷行為が疑われる場合や、発達障害の特性が強く日常生活に支障をきたしている場合には、専門の医療機関での診断や治療が必要になることがあります。
  2. 心理カウンセラー・スクールカウンセラー
    感情コントロールやコミュニケーションスキルの習得には、専門家によるカウンセリングやアドバイスが有効です。学校にスクールカウンセラーがいれば、早めに相談してみるのもおすすめ。
  3. 自治体の発達障害支援センター
    地域によっては、発達障害に特化した相談窓口や子どもと親を対象にした療育プログラムを提供している機関があります。必要な支援が得られるので、ぜひ活用してみてください。

【対処法】もし二次障害になってしまったら?

たとえ、すでに二次障害の症状が出ていたとしても大丈夫です。
適切な支援を受けることで改善します。
ここでは、二次障害が疑われる段階からできる、具体的な対処法を整理してご紹介します。

適切な支援機関の選び方

まず、親御さんが一人で解決しようと頑張らないでください。
中には「私の育て方が悪かったのでは?」と相談をためらう方もいますが、ほとんどの専門家は子育ての大変さを理解しています。

きっと親御さんに寄り添いながら、これからどのように接すればいいか、またどのようにサポートしていくのか提案してもらえるでしょう。

児童精神科の受診目安

二次障害のサインがはっきり見え始めたら、できるだけ早く児童精神科や心療内科など専門の医療機関で相談することを検討しましょう。特に以下のようなケースが見られる場合は、早めの受診をおすすめします。

  • うつ症状
    長期間続く落ち込みや無気力、睡眠障害などがある場合。
  • 不安障害
    学校や人との関わりなど、特定の場面における強い不安やパニック発作がある場合。
  • 自傷行為・希死念慮
    自分を傷つける行為が頻繁に起こる、または「死にたい」といった言葉を口にする場合。

児童精神科医は発達障害や子どものメンタルヘルスについて専門的な知識を持ち、薬物療法やカウンセリングなどを組み合わせて治療プランを立ててくれます。まずはかかりつけの小児科や地域の保健センター、発達障害支援センターなどに相談し、適切な医療機関を紹介してもらうのもよいでしょう。

療育施設の活用

自治体やNPOが運営している療育施設では、発達障害のある子どもが社会生活をスムーズに送るためのトレーニングや支援を受けられます。二次障害が進行してしまった子どもに対しても、適切なプログラムを提供しているところが多いです。

プログラム例

  • ソーシャルスキルトレーニング(SST)
    コミュニケ
  • ーションや対人関係の課題を、ロールプレイなど実践的な方法で学ぶことができます。
  • カウンセリング・心理療法
    心のモヤモヤやトラウマを整理するためのカウンセリングや、認知行動療法を取り入れている施設もあります。
  • ペアレントトレーニング
    親が特性を理解し、家庭でのサポートを適切に行うためのプログラム。「子どもの行動をどのように捉え、対応すればよいのか」を学べるため、二次障害の再発予防にもつながります。

療育施設のプログラムは多種多様です。通いやすさや子どもとの相性を考慮しながら施設を選びましょう。

家庭での対応ガイド

積極的に専門家を頼ってほしいですが、どうしても相談しにくいという方のために僕なりに、アドバイスを2つお伝えしますね。

安心感を与える環境作り

二次障害の状態にある子どもは、常に強い不安や孤独感、自己否定感を抱えていることが少なくありません。家庭の中で「ここにいれば大丈夫」「何があっても受け止めてもらえる」という安心感を持てるような空気作りが大切です。

ポイントは2つ。

  • 責めずに受け止める姿勢
    「またそんなことして…」と否定したり責めたりするよりも「辛いんだね」「苦しい気持ちを抱えているんだね」と、まずは気持ちを理解しようとする姿勢を示しましょう。
  • プライバシーを尊重した空間
    子どもが一人になって落ち着ける場所を確保するだけでも、安心感は大きく変わります。勉強机とは別に、リラックスできるクッションやお気に入りの音楽を聴けるスペースを設けるのもおすすめです。

トラブル時の対応例

二次障害が進むと、家庭内での衝突やパニック状態が起こりやすくなります。そのときに大人がどう対応するかで、子どもの気持ちが大きく変わります。

また、大人も冷静に対応することができるので、うまく乗り越えられるようになります。

  1. まずは安全を確保
    子どもが自分や他人を傷つけそうな場合は、危険物を遠ざけ、大人は冷静に状況を把握します。
  2. 落ち着くまで待つ
    感情が高ぶっている状態で説得や叱責をすると、さらに興奮させることがあります。一時的に物理的な距離をとり、落ち着くのを待ちましょう。
  3. 受容的な声かけ
    「今とても辛そうだね」「落ち着くまで少し待とうか」と、相手の感情を否定しないように声をかけます。
  4. 冷静になったら話を聞く
    怒りや不安が和らいだら、「何があったの?」「どうしてそんな気持ちになったの?」と穏やかに話を聞きましょう。このとき、注意することよりもまず共感が重要です。

完璧に対応できるようにならなくても大丈夫です。
大人だって、初めてのことは慣れずに失敗するもの。
少しずつ子どもに応じた対応ができるようになっていきます。

うまくできるようになれば、パニックや衝突をする出来事自体が、相手をより理解するきっかけになることもありますよ。

二次障害は親のせい?

「私の育て方が悪かったのかな…。」と親自身が自己否定をしていることが多々あります。
それに、ひどい話ですが親の育て方のせいにする意見も少なからずあります。
実際のところ、子どもの二次障害の原因はよくわかっていません。

子ども自身の受け止め方、友だちとの関係、サポート体制、もちろん親御さんとの関係も含まれますが、どれか1つに原因があるとは考えられません。

二次障害は子育ての失敗ではありませんし、親御さんの人間性の問題でもありません。
さまざまな環境と本人の課題、親御さんの課題が複雑に絡んだ結果です。

何が、誰が悪かったということではなく、これからお子さんとどういう関係を築きたいのか、再出発と思ってやってみるのもいいでしょう。

子どもも大人もしんどいことばかりの時期かもしれませんが、必ず寄り添ってくれる人はいます。
二次障害や発達障害のお子さんに関わる大人自身も、抱え込まず支援を受けて、ゆっくりよりよい方向に向かえるようにしましょう。

二次障害のQ&A

二次障害に関するよくある質問を4つ紹介します。

Q1.二次障害は治るのか?

二次障害は、環境やストレスなどの要因によって後天的に生じる精神的な不調です。うつ症状や不安障害、反抗挑戦症などが代表的ですが、適切な治療と支援、環境調整を行うことで改善していく可能性は十分にあります。特に、早期に気づいて対応するほど回復が早く、深刻化を防ぎやすいと言えます。

Q2.病院選びの基準は?

主に「児童精神科」「小児神経科」「発達障害専門外来」を標榜している病院やクリニックが、発達障害や二次障害に対して専門性を持っていることが多いです。選ぶときには以下の基準を参考にするとよいでしょう。

  1. 専門性の確認

    • ホームページなどで「発達障害に特化した診療・支援を行っているか」をチェック。
    • 病院内に心理士やソーシャルワーカーが在籍しているかもポイント。
  2. スタッフの連携体制

    • 医師だけでなく、カウンセラーや作業療法士、言語聴覚士など、多職種連携が取れているか。
    • チームで子どもを支援する体制があると、より総合的なサポートを受けやすい。
  3. 通いやすさ・待ち時間

    • 定期的な受診が必要になるケースが多いため、自宅や学校からのアクセスや予約の取りやすさなども大切な要素。
    • 中には数カ月待ちのところもあるので、早めのリサーチがおすすめ。

Q3.兄弟への影響は?

発達障害のある子どもに二次障害が生じると、家庭全体の雰囲気が張り詰めがちです。親御さんがその子への対応に手いっぱいになり、兄弟の気持ちや時間が後回しになると、心理的影響が及ぶことがあります。

〇どんな影響が考えられる?

  • 親の注目が兄弟に向かいづらいため、嫉妬や孤立感を抱く。
  • トラブルが起こるたびにピリピリした家庭環境で暮らすことでストレスをためやすい。
  • 「自分が頑張らなきゃ」と、過度に責任感を背負う場合も。

〇ケアのポイント

  • きょうだいにも「あなたを大切に思っているよ」というメッセージを伝え続ける。
  • 一緒に過ごす時間を作り、気持ちを聞く機会を意識的に設ける。
  • 必要に応じて、きょうだいもカウンセリングや家族支援プログラムに参加してもよい。

Q4.学校を休ませるべき?

二次障害によって心身の状態が不安定なときは、無理をして通学を続けるよりも、まずは休養が必要です。具体的には、以下のようなケースを目安に検討するとよいでしょう。

  1. 心身の安全が脅かされるとき

強い不安やパニックで教室に入れない、授業が続けられないほどの体調不良(頭痛・腹痛など)がある場合。

  1. 自傷行為や希死念慮が見られるとき

学校の刺激や人間関係が原因で、症状が悪化する恐れがある場合は、一時的に登校を控えることも必要。

  1. 医師やカウンセラーの判断

医療機関で「当面は安静が望ましい」「環境調整の準備期間が必要」といったアドバイスがあれば、それに従うのが安心です。

※休ませるときの注意点

学校の勉強についていけなくなるのでは?

ゲームばかりになってしまうのでは?

と心配するかと思いますが、まずはお子さんの回復と親御さんとの信頼関係を築くことが大切です。

「学校に行かない分、家で経験を積ませないと!」という不安から子どもと接しても、子どもと向き合っているとは言えません。

ぜひ、お子さんがどうありたいのか、今どんな気持ちなのか、ありのままの子どもと対話してみてください。

最後に

  • 成長したときだけ温かい言葉がもらえる。
  • 苦手なことを放置するのは悪いこと。
  • 良い成績を取らないと認めてもらえない。

大人の言葉かけは、ときにそんな印象を与えてしまいます。

心の中では、生きていてくれたらそれでいいと思っていても、その感覚は忘れやすい。

そして、子どもに無意識に期待をかけて、強い言葉で子どもを叱る大人もまた、そんなプレッシャーの中で頑張って来たんじゃないかなと思います。

だからこのブログで、急に「生きているだけでいい」「ありのままを認めましょう」と言われても、本当にそれでいいのか?という気持ちになると思います。

何も正解はありませんし、厳しい指導も必ず役に立つ場面はあります。

ただ、もし今の親子関係でうまくいっていないと感じているであれば、別のやり方を試してみる良い機会になると思います。

これ、いいかも!と思ったものがあれば試してみてくださいね。

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