重度知的障害とは?特徴と支援のコツをご紹介

重度知的障害のあるお子さんとこれから関わるという方向けに、概要や支援のコツをまとめました。

重度知的障害とは

重度知的障害とは、知的な発達が年齢に比べて大きく遅れており、日常生活で多くの支援が必要な状態を指します。

具体的には、以下の4段階に分類されています。

分類 IQ
軽度 51~70
中度 36~50
重度 21~35
最重度 20以下

特に重度、最重度の知的障害がある子は、日常生活において一人で行動することが難しく、多くの支援が必要です。

重度知的障害の特徴

重度知的障害のある人は、どのような特性があるのでしょうか?主な特徴を以下にまとめました。

  • 言葉や金銭、時間の概念が理解しにくい
  • 日常生活の多くの行動で支援が必要
  • 簡単な会話や身ぶりで意思疎通できる場合もある

言葉や金銭、時間の概念が理解しにくい

重度知的障害のある人は、目に見えないものやイメージの世界を理解することが苦手です。たとえば、目の前にりんごがあれば、食べ物として認識したり味のイメージしたりできる子は多いですが、言葉で「りんご」と聞いてもイメージするのは難しいのです。

もちろん、重度とはいえ発達は千差万別ですので「簡単な単語を聞いて理解できるけど、自分が使えない」という子もいれば、単語は言えるけど意味を理解していないというパターンもあるのです。

また、お金の使い方や時間の流れも目に見えないので苦手さが目立ちます。

日常生活の多くの行動で支援が必要

重度知的障害のある子は、食事、着替え、入浴、トイレなどの基本的な日常生活でも助けが必要です。これらの行動を一人で行うことが難しいため、家族や支援者のサポートが欠かせません。

簡単な会話や身ぶりで意思疎通できる場合もある

全く意思疎通ができないわけではありません。身ぶりや単語を使って、周囲に気持ちや要求を伝えることができます。

言葉が出ないお子さんの場合だと、手のひらを重ねて「ちょうだい」と伝える練習から始めることが多いです。

中には、パニックに陥り他害や自傷行為が激しく表れるケースもあります。特に頻発する場合は、強度行動障害とも言われているので、特別な配慮

が必要です。
強度行動障害について、概要と支援方法を知りたい方は下記の記事もご覧ください。

発達の可能性はあるの?

では知的障害があると、成長しないのか?というと…そんなことはありません!

5歳過ぎてオムツが外れなかったり、要求を伝える手段が泣く怒るの感情だけなど、未熟さが目立つ場合「将来どこまで自立できるのか?」と不安ですよね。
もちろん、どこまで成長するかはお子さんの障害の程度や環境にもよります。しかし、支援を続けることで確実にできることは増えていくんです。

実際に、最重度のお子さん4名を追った実験で、継続的に療育センターで発達を促すアプローチをしていた2名は、見たてて遊ぶことができたり、要求を伝える手段が増えたりしたみたいです。

重度知的障害のある子への支援方法

では、支援って具体的にどうすればいいのか?
そのポイントを3つにまとめました!

  • 運動を積極的にする
  • 絵カードを使ったコミュニケーションを取る
  • 好きなことから大人とのかかわりを楽しめるようにする

運動を積極的にする

認知発達を促すために、運動は欠かせません。

アスレチックやブランコでもいいので、外に出て遊ぶ機会をつくりましょう。
もし「周りの目が気になるな」「他の子に迷惑をかけたらどうしよう」と、心配な場合は、お家のなかで、子どもを段ボールやバスタオルに載せて引っ張ってあげるなどの遊びでもOKです。

運動量は違いますが、大人と関わって遊ぶことも目的の1つなのでぜひやってみてください。

とはいえ、日の光を浴びながら身体を動かすことで、自己コントロール力に関係するセロトニンが分泌され、より発達を促すことにつながるので、無理のない範囲で公園で遊ぶようにしてください。

絵カードを使ったコミュニケーションを取る

重度知的障害は、言葉だけだと行動に落とし込むのが難しい発達段階です。

なので、積極的に言葉をかけながらイラストや写真を見せて伝えましょう。
だんだん言葉と物が結びついてきて、言葉だけでイメージできることが増えていきますよ。

ただし、日常生活動作すべて、絵カードに落とし込むのは大変だと思うので、例えばごはんやトイレなど早く自立してほしい場面だけやってみても良いでしょう。

好きなことから大人とのかかわりを楽しめるようにする

自閉症をともなう知的障害の場合、興味がとても限られている場合が多いんですよね。

大人が別の遊びに誘うと、とっても怒る場合も・・・。

なので、好きなことを存分にやらせてあげながら「これもやってみる?」と少し似た遊びを誘ってみる程度で大丈夫です。

なかなか新しいものに興味を持たないことが多いとは思いますが、めげずにいろいろ誘ってみてください。

興味を持てば認知発達してきていることですし、新しい遊びがさらに認知の広がりに役立ちます。

まとめ

重度知的障害のお子さんは、発達がとてもゆっくりなので、長期スパンで自立を考える必要があります。

ただし、発達検査の1つ太田ステージを開発した太田昌孝教授の研究によると、

3歳から6歳までの発達と6歳から10歳までの発達を比較すると発達促進がより見られたのは3歳から6歳までだったんですよね。
※6歳から10歳の間でも発達は見られたが、アプローチの効果が大きく出たのが3歳~6歳という意味。

つまり、幼少期の方が発達促進のアプローチが高いということですね。
この結果から早い段階で、専門家に相談して支援を受けるのがいいとは思います。

ただ、1つの見方として、6歳以降発達しないのではなく、少なくとも、太田先生が行った発達を促すアプローチ方法では3歳から6歳までの方が効果があったってことでもあるので、僕なりに今後も、学童期に入ってどうやったらより発達が促されるのかは調査する必要性を感じています。

もっと詳しく重度知的障害のお子さんの支援方法を知りたい方は、場面ごとに支援方法のヒントとなる記事を投稿しているので、ご覧ください。こちらから!

子どもの発達やかかわり方に関して相談したい方は『発達障害のわが子にイライラしているあなたへ』の記事をご覧ください。

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