結論
数の概念は、指で差しながら物を数えることが初期段階です。もし、8ピース以上の絵の構成や大小の理解、見本通りにブロックを積むことができるなら、数の学習に十分な認知が育っています。本記事は以下のお悩みを解消します。
- 数の学習を始めるタイミングが知りたい
- 数の学習を始める前の課題を知りたい
- 数の概念って結局どこまで成立すればいいの?
目次
はじめに
数字とは、発達障害のあるお子さんにとって、とてもハードルの高い学習の1つです。なぜなら、数には実態がなく抽象的だからです。
また、指導者も指導方法に悩むでしょう。私たちは、絵本や大人の真似を通して、自ら数唱したようにある程度、自然に身に付けた概念だから教えにくいのです。
今回の記事は、数の学習に十分な認知かどうかの確認方法と、数の学習に必要な認知を育てる学習を明確にします。
数の概念とは
数の概念とは、数のもつ役割を理解しているということです。例えば、具体的な物の個数を数えられたり、「この中から3つください。」という質問に答えられると数の性質や役割の初歩を理解できていると判断できます。
これができれば、数の学習に入ってOK
最終的には、以下の課題ができれば、数の学習の準備が整ったと判断できます。
8ピース以上の絵合わせ
1枚の絵を8等分しバラバラにします。それを元の絵に戻せれば課題クリアです。
空間積み木模倣
この課題は、見本と同じように積み木を組み立てることができるかどうかを確かめます。
慣れてきたら、下の図のように奥行きのある積み木も模倣できるか確かめましょう。
大小を見分ける
大きい丸と小さい丸の型はめをします。感覚ではなく、目でとらえて正しくはめることができればOKです。
最終的には、2つの違う大きさの丸を提示し、「どっちが大きい?」と聞いて答えられるようにしましょう。
なぜ、これらの課題が数の学習につながるのか
これは私の推測です。
数概念の獲得には、数字を見比べたり、数唱など聞き分ける力が必要です。また、人差し指を立てると「1」を表す、というように、指が数字を表すことにも気づかなければなりません。
見比べる力、同じものを探す力、大きさの違いを理解することが、数の概念形成に必要なのだと考えます。
では次に、8ピースの絵合わせやブロックの模倣ができるようになるための学習方法をご紹介します。
以下の課題を遂行することによって、絵合わせやブロックの模倣、大小の理解が進み、数の学習につながるのです。
数の概念を獲得する準備
数の概念を指導するには、8ピースの絵合わせや大小の見比べなどが必要です。この章では、その課題に至るまでに必要な課題をご紹介します。
感覚遊び
感覚遊びは、粘土などの感触を楽しむ遊びや、だっこやトランポリンなどで揺れを楽しむ遊びがあります。こうした、肌から直接的な感覚得られる遊びが特別支援教育の一歩目といっても過言ではありません。
ハンマートイ
ハンマートイとは、ハンマーで付属のボールや棒を叩いて落とすおもちゃです。
直接手ではなく、ハンマーを使って間接的にボールを操作するという点で、感覚遊びより発達してきた証です。
型はめ
写真のように、適切な形の板を選んではめるおもちゃです。私の経験では、丸と四角はすぐにできるようになりますが、三角は苦戦するようです。
型はめは、キャラクターを使ったものも売られているので、慣れてきたらより複雑な形の型はめを取り入れてください。
立体型はめ
これで遊んだ方も多いのではないでしょうか。立体的なものを扱うことを苦手とするお子さんは多いです。
立体の型はめは、課題別学習のときだけでは伸びにくいかもしれません。日常的に公園で身体を使った遊びや、自然の物とふれ合う中で空間認知は育っていきます。
マッチング
マッチングとは、場にある複数の物の中から、提示された物と同じ物を取ることができるかという課題です。
全く同じものを選ばせることもあれば、教員が写真を見せて、具体物を取れるかどうかという課題や、イラストを理解しているか否かという、実態把握にも用います。
とても応用の効く課題です。
分類
分類は、例えば、場に犬とおにぎりの模型があったとします。それを「食べ物」「動物」という括りで分けることができるかという課題です。
この課題もマッチングを応用したものですが、生活経験を重ねないと、なかなかイメージできない課題です。
以上の課題が、数字概念を獲得するまでに必要な課題です。
高度なマッチング課題ができるようになれば、2ピースの絵合わせや簡単な積み木の模倣に取り組んでもよい頃でしょう。
マッチングや分類と同時進行で取り組んでみてください。
おわりに
今回は数の学習前について、お伝えしました。
近いうちに、数の学習の段階的な指導の仕方もご紹介します。
足し算の指導方法はこちら
コメントを残す