「あと5分」と言っても動かない
「もう少しだけ」が延々と続く…。
特にテレビやタブレットからの切り替えに苦労していませんか?
活動の切り替えが苦手な子どもに対して、叱ったり強制したりするのは逆効果になることも。実は適切な支援グッズと声かけがあれば、この日常の悩みは大きく改善できます。
本記事では、子どもの特性を理解した上で、切り替えをスムーズにする効果的なグッズ5つと具体的な使い方をご紹介します。これらを取り入れることで、叱る場面が減り、親子・教師と子どものストレスも軽減。毎日の生活がよりスムーズになるでしょう。
目次
テレビ・タブレットから離れない!よくある切り替えの困りごと
「あと1回だけ」と言いながら何度もゲームを続ける
「CMまで」と言ったのに次の番組も見始める
食事の時間になってもタブレットを手放さない…。
こうした場面は多くの家庭や教育現場でよく起こります。
デジタル機器は特に子どもの脳を強く刺激するため、切り替えが一層難しくなります。画面の明るさ、音、動き、即時的な反応など、脳が心地よいと感じる刺激が豊富に含まれているからです。
叱っても逆効果?よくある対応と落とし穴
「何度言ったらわかるの!」
「いつもこうなんだから」
「もう全部取り上げるよ!」
こうした言葉、つい口にしてしまいますよね。しかし、叱責や脅しは一時的には効果があるように見えても、長期的には以下のような問題を引き起こします。
- 子どもの自己肯定感の低下
- 親子・教師と子どもの関係悪化
- 切り替えに対する否定的感情の強化
- 子ども自身の自律的な切り替え能力の発達を妨げる
と、一応お伝えしましたが
「そんなことはわかっているけど、どうしたらいいかわからない!」という気持ちが強いと思います。
この後、原因と対策を紹介するので、ぜひ続きもご覧ください。
子どもが「活動の切り替え」を苦手とする理由
切り替えが苦手な理由を知ることで、適切なサポート方法が見えてきます。
自閉症による「見通しの持ちにくさ」
発達段階や特性によっては、「次に何が起こるか」を想像することが難しい子どもがいます。見通しが立たないと不安になり、今の安心できる活動にしがみつく傾向があります。
特に自閉スペクトラム症で予測不能な変化への対応が苦手なことが多く、活動の切り替え時に混乱しやすいことが分かっています。
ADHDの「好きなこと」に集中しすぎる脳のしくみ
ADHDの方の脳は、ドーパミンやノルアドレナリンという神経伝達物質のコントロールがうまくいかないと言われています。この2つ伝達物質は「報酬系」と呼ばれ、その活動を続けたいという強い欲求を生み出します。
そのため、ドーパミンが過剰に出ているときは、過集中になり、少ない分泌量だと注意散漫になっているのです。
つまり、注意力をコントロールできないので、切り替えの難しさの原因になっているんです。神経伝達物質レベルの困難さなので、気合や叱責でどうにかなるものではありません。
活動の切り替えを助ける支援の基本ステップ
グッズの紹介の前に、効果的な支援の基本となる考え方をご紹介します。
この方法で解決するならお金がかからないので、ぜひ最初に試してみてください。
声かけのタイミングと伝え方
効果的な声かけには、タイミングと伝え方が重要です。
- 前もって予告する:「あと10分で終わりだよ」→「あと5分だよ」→「あと1分だよ」と段階的に予告
- ポジティブな言葉を使う:「もうテレビを消しなさい」ではなく「次はお風呂の時間だよ」
- 短く明確に伝える:長い説明より「時間だよ。次はご飯」など短い言葉で
- 視覚的手がかりと一緒に:言葉だけでなく、時計など目で見える手がかりを用いる
「交渉」ではなく「納得」を引き出すコツ
子どもとの「あと5分」「あと1回」の無限ループに陥らないための方法です。
- 選択肢を与える:「今終わる?それとも3分後?」など、子どもに決定権を部分的に与える
- 終わりと始まりをセットにする:「これが終わったら、次はおやつだよ」と次の楽しみを提示
- 達成感を提供する:「最後のピースを入れたね、完成だ!」と区切りを明確に称える
- 感情を認める:「やめたくないよね、わかるよ」と気持ちを受け止める
活動の切り替えがスムーズになる!おすすめ支援グッズ3選
実際に使える具体的な支援グッズをご紹介します。
タイマー
時間の経過を視覚的に理解できるタイマーは、切り替え支援の定番アイテムです。
おすすめ
- タイムタイマー:赤い円盤が時間経過とともに減っていくデザインで、残り時間が一目でわかります
子供用60分ビジュアルタイマー - キッチンタイマー:音を聞いて切りかえられるなら(100均のものでOK!)
- カウントダウンタイマー:数字が読めるお子さん向け。大きな文字盤で見やすく、アラーム音も調整可能
Blueekin タイマー LED大画面
活用法
- 活動開始時にセットし、「これが鳴ったら終わりだよ」と約束する
- 最初は短い時間から始め、徐々に適切な時間に調整する
- タイマーを子ども自身に操作させると、主体性が生まれる
視覚スケジュール
その日の流れや次の活動を視覚的に示すことで、見通しを立てやすくします。
おすすめ商品
- クツワ METETE おうちの時間割りボード:マグネット式活動カードを貼り付けて、裏返すと「できた」に変わる。やることと、達成したことがすぐわかる!
- キッズ 卓上デイリープランナー:1日のやることと、スケジュールが1枚にまとめられてあり、自分で記入するスタイルです。親子で一緒にやるといいですね!
その他シンプルなものから、カラフルで見やすいものなどいろいろあるので、スケジュールを1から作るのが面倒な方は、Amazonを見てみてください。
スケジュールボード商品一覧
活用法
- 前日に予定を作る
- 朝、その日の予定を一緒に確認する習慣をつける
- 終わった活動には「終了」マークを付けるか、カードを裏返す
- 特に苦手な切り替えの前後には好きな活動を配置する
ご褒美システムを作る
ご褒美システムを使って、スムーズな切り替えを強化します。
ただし、ご褒美におもちゃを買ってしまうと、「おもちゃがないとやる気にならない」となってしまうので、あくまでも達成感やできる事が増えた実感を与えられるご褒美を考えてみてください。
ほめ言葉でもOKですよ!
おすすめ商品
- 子どもの好きなキャラクターシール:目標達成をシールで視覚化できる
活用法
- スムーズに切り替えができたらシールを貼る
- シールを貼る手帳も用意して、溜められるようにする。
10個目は大きいシールで達成感アップ! - 決まった数のシールが貯まったら特別な活動や小さなご褒美と交換
- 失敗しても責めず、次の機会を励ます
支援グッズの活用方法と声かけ実践例
実際の場面での活用例をご紹介します。
例1:テレビから学習への切り替え
準備するもの:タイムタイマー、視覚スケジュール
実践例
- テレビを見始める前に「30分後は勉強の時間だよ」と伝え、タイムタイマーをセット
- 残り10分、5分で予告
- タイマーが鳴ったら「時間になったね。今日の勉強は算数だね」とスケジュールを指さす
- 「テレビ楽しかったね。どんな内容だった?」と共感しながら次の活動への橋渡し
- スムーズに切り替えられたら「タイマーが鳴ったらすぐに切り替えられたね、すごい!」と具体的に褒める
例2:遊びからお風呂・食事への切り替え
準備するもの:砂時計、トークンボード
実践例
- 「あと3分で片付けの時間だよ」と砂時計をセット
- 砂時計が落ちきったら「時間だね。今日は何から片付ける?恐竜?ブロック?」と選択肢を提示
- 片付けを手伝いながら「明日またここから続きができるね」と安心感を与える
- スムーズに切り替えられたらトークンボードにシールを貼る
- 「今日で3個目のシールだね!あと2個でお楽しみタイムだね」と次の目標を示す
例3:登園・登校前の支度
準備するもの:視覚スケジュールボード、終わりの合図ベル
実践例
- 朝一番に「今日の予定を確認しよう」とスケジュールボードを一緒に見る
- 「朝ごはん→歯みがき→着替え→かばん準備→出発」の流れを確認
- 各活動が終わるたびに子どもにベルを鳴らしてもらい、次の活動カードを指さす
- 全て終わったら「全部できたね!」とボード全体を指さして達成感を共有
- 「明日も同じ順番でやってみようね」と一貫性を伝える
支援を続けることで、切り替えが少しずつ上手になります
毎日の小さな積み重ねが大きな変化を生み出します。
叱らなくても子どもが動くようになる
支援を続けると、子どもは自分で時間を意識し、次の活動への心の準備ができるようになります。最初は大人の声かけが必要でも、徐々に「タイマーが鳴ったら終わり」というルールが内在化し、自分から「もう時間だね」と言えるようになることも。
これは単なる「言うことを聞く」という従順さではなく、自己調整能力の成長の表れです。この力は学校生活や将来の社会生活でも重要な基盤となります。
親や先生のストレスも減っていく
「何度言っても動かない」というストレスが減ることで、大人側の精神的な余裕が生まれます。怒りや焦りではなく、穏やかな気持ちで子どもと向き合えるようになると、関係性も良好になっていきます。
毎日の生活が整い、親子・先生と子の関係もスムーズに
活動の切り替えがスムーズになると、日常生活全体のリズムが整います。予定通りに物事が進むことで、子どもの安心につながり、大人は余裕を持って対応できます。
こうした良いサイクルができあがると、子どもは「次はこうなる」という予測可能性から安心感を得て、新しいことへの挑戦もしやすくなります。
まとめ|活動の切り替え支援は「コツ」と「道具」で変わる
活動の切り替えに困ったとき、すべてを一度に変える必要はありません。大切なのは、子どもに合った「コツ」と「道具」を少しずつ取り入れていくこと。この記事の最後に、実践への一歩を踏み出しやすくするためのポイントをまとめました。
すぐにできることから始めてみよう
全ての支援グッズを一度に導入する必要はありません。まずは家庭や教室で最も困っている場面を一つ選び、そこから取り組んでみましょう。
- 朝の支度が大変なら → 視覚スケジュールから
- ゲームやYouTubeを終わらせるのが難しいなら → タイマーから
- 全体的に切り替えが苦手なら → トークンシステムから
子どもの変化を見守りながら続けることが大切
支援グッズの効果はすぐに現れることもあれば、時間がかかることもあります。大切なのは柔軟性と忍耐強さです。
また、子どもの成長に合わせて支援方法を調整していくことも重要です。最初はタイマーと具体的な声かけが必要でも、徐々に「もうすぐ終わりだよ」という声かけだけで切り替えができるようになるかもしれません。
切り替えの力は、子どもが今後スキルを身につけたり、仕事をしたりするうえで重要なものになります。
今日から、ぜひ一つでも実践してみてください。
小さな変化が、やがて大きな成長につながります。
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