【自立活動実践例】学習指導要領にそって風船バレーの指導ポイントを解説!!

結論

自立活動において風船バレーを行う場合、「人間関係の形成」「環境の把握」「身体の動き」の3項目をねらいとして授業を立てることができます。本記事では学習指導要領にそって、指導のポイントを解説します。

風船バレーとは

風船バレーとは、風船をボールにしてバレーボールのように遊ぶゲームです。ボールと違って風船はゆっくり落下するので運動が苦手なお子さんでも床に落ちる前にボールを触れたり、教員がフォローしやすかったりするので、特別支援学校ではよく行われる遊びです。

自立活動で風船バレーを行う際の指導ポイント

風船バレーを授業で行う際に考えられるのは、「体育」「生活」「自立活動」の3つです。ただ、特別支援教育に関しては、これらを「教科を合わせた指導」という考え方があるので、明確に区分するのは難しいですし、深く考えることに意味があるとは思いません。今回の記事では、より広く考えるために「自立活動」の学習指導要領にそってポイントを解説します。

人間関係の形成

「人間関係の形成」は、4項目あります。風船バレーにおいては、「⑴他者とのかかわりの基礎に関すること」「⑵他者の意図や感情の理解に関すること」「⑷集団への参加の基礎に関すること」の3つが風船バレーの特徴を生かして指導ができる項目だと考えます。

⑴他者とのかかわりの基礎に関すること

この項目は、「人に対する基本的な信頼感をもち、他者からの働き掛けを受け止め、それに応ずることができるようにすることを意味している。」とあります。つまり、教員と子供の信頼関係の構築と、相手と視線を合わせるなどの基本的なコミュニケーションの素地を養うことを目的としています。

風船バレーは、1つの風船を一緒に追いかけたり、子どもの名前を呼んでパスをしたりするなど場を共有でき、コミュニケーションが生まれやすい遊びです。また、床に落ちる前に風船に触わるというルールもわかりやすいです。こうした、経験が教員や友だちと信頼関係を結んだり、関わりたいなという意欲を育てることにつながります。

⑵他者の意図や感情の理解に関すること

勝ち負けにこだわってしまい、うまくできない子に対して責めるような言動をするお子さんがいる場合、最初にルールをつくることがおすすめです。例えば、「みんなが楽しくできるルール」などをつくり、友だちへの声のかけ方や目標などを確認しましょう。

また、運動が得意で周りに合わせることにストレスを感じている子がいた場合、時間を決めて子ども対大人、運動が得意な子ども同士で取り組む時間を設けてもよいと思います。最初に、このことを伝えておくと、思いっきり楽しくやりたい子も折り合いが付きやすくなります。

⑷集団への参加の基礎に関すること

この項目は、主に集団活動の上で必要なことを理解するという意味です。

風船バレーにおいては、たとえその子がコート内全てカバーできるほど運動が得意であったとしても集団で行うゲームであることを理解させることが必要です。必要であれば、カバーする範囲を1人ずつ決めたほうがスムーズにいく場合もあるでしょう。

また、ゲームの理解が難しいお子さんの場合、口頭や視覚支援だけでなく、手本を示したり実際にやってみたりしながら少しずつ覚えていくようにするとよいでしょう。

環境の把握

環境の把握では、基本的に保有する感覚の意識を高めたり活用する方法について解説されています。風船バレーにおいては、「⑷感覚を総合的に活用した周囲の状況についての把握と状況に応じた行動に関すること」との関連について解説します。

⑷感覚を総合的に活用した周囲の状況についての把握と状況に応じた行動に関すること

この項目は、身体の感覚や動かし方を学ぶ過程で、位置、方向、遠近の概念形成を目指します。風船バレーでは、風船が手や足に当たる感覚を体験できるだけでなく、床に落ちそうな風船は足腰を沈めて取ったり、力強く打ったりするなど慣れてくると身体の使い方を工夫しながら取り組むことができます。

このような工夫が見られても、成長したと評価することができますが、この項目と関連づける場合に教員は、積極的に「右にいったよ!」やサーブのときに「遠くに飛ばしてみよう」といった言葉かけをすることで概念形成を図ることが必要です。

身体の動き

歩行や、作業など筋力の向上やスムーズな動かし方といった日常生活動作を高める指導が解説されています。風船バレーにおいては、「⑴姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること」 との関連について解説します。

⑴姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること

この項目は、スムーズな動作の習得や姿勢の保持、筋力の維持・強化が示されています。風船バレーにおいてこの項目は特に、運動能力の発達が未熟な子どもに当てはまると考えらえます。腕を上げたり風船に合わせて移動したりする過程でよい運動になるお子さんもいます。慣れてきて、より運動量を確保したい場合は、コートを広くしたり、チームの人数を減らすことなどが考えられます。

また、1対1でパスの練習や教員が投げて子どもに打ち返させるなどの指導でより細かく身体の動かし方に特化して指導することができるでしょう。

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