- ゲーム感覚でできる遊びを知りたい
- 特別支援学校における「宝さがし」の教育的な価値を知りたい
- 重度から中度の知的障がい及び自閉症のクラスで行う宝さがしのやり方を知りたい
- 宝さがしの学習指導案の作成のヒントがほしい
はじめに
一般的に、小学校で行われる宝さがしは教室やホールなどで物を隠し、見つけるというレクリエーションとしてよく取り入れられています。
実は、この宝さがしは特別支援教育では自立活動の授業として十分に設定できるのです。
宝さがしの目的と教育的な価値

宝さがしは、何を隠されているかをプレイヤーに伝え、見つけることを課題としたゲームです。
この宝さがしに必要な能力を分解して考えるといろいろな能力が使われていることがわかります。
宝さがしに必要な能力
色と形の識別
特別支援学校では、マッチングという「モデルに示されたものと同じものや同じ属性の物を選ぶ」課題を行います。
マッチングを成功させるには、色と形の識別をする必要があります。これは、視認知という機能を高める課題です。
宝さがしでも探すものを提示して同じものを探す活動なのでマッチングを応用したゲームといえます。
短期記憶
宝さがしでは、自分が探すべき物を見て記憶をしないと効率的に探すことができません。そのため、短期記憶も鍛えることができます。
もし、注意がそれやすという特性がある場合、写真カードを持たせて「これを探すんだよ。」と伝えるとよいでしょう。
物の永続性
例えば、目の前にあるおもちゃを布で隠したら、多くの人は布をめくっておもちゃを確認します。
これは、おもちゃが消えたのではなく、布の下に隠れたということを認識できているからです。この力が弱いと、おもちゃが失くなったという認識になってしまい、代わりのおもちゃを探したり、泣いたりしてしまいます。
もちろん、宝探しを行う上で物の永続性が未発達の状態で行うのは難しいです。そのため、最初はわかりやすいところに物を設置し、同じものを取るという学習からスタートしましょう。
特別支援学校での宝さがしのやり方

やり方は簡単ですので、支援方法と合わせてご紹介します。
やり方①
同じ物、もしくは写真を見せて、これが隠してあるよと伝える。
支援のポイント
難しい場合、写真で隠してある場所のヒントがわかるような構図にすると自分で見つけられる支援になります。
やり方②
イラストを集める
子どもが好きなイラストを集めるのも楽しくできます。集めたイラストを張るシートを用意すると活動の見通しがもてます。
私の経験
私の実践をご紹介します。子どもたちの実態は、喃語か、1語文レベルの言葉がありました。コミュニケーションの中心は絵カードやジェスチャーに言葉を添えて行っていました。
やり方①の方は個別学習の時間にマンツーマンで行いました。
前期で様々な種類のマッチングに取り組み、後期で、写真を見せて「これを取ってきて」と伝えてました。
もちろん、子どもの好きなものを3つ用意していました。「見つけたら、このかごにいれてね。」と伝えることで学習の流れができます。
最初は一緒に探したり、さりげなくヒントをだしたりしていましたが、だんだん一人で探せるようになりました。
やり方②は、4人のお子さんを対象(学年フリー)にして行いました。
授業前に教室中にイラストシールをたくさん貼りました。子どもたちには、白黒のイラストが描かれたシートを渡して、集めたらシートに張るように伝えました。
子どもたちの様子から以下のメリットがあることがわかりました。
- シートを埋めればよいので、学習の見通しを持ちやすい。
- シートが白黒で集めるイラストをカラーにすることで集めたくなるようになる。
- 一人ひとりにチョイスした子どもの好きなイラストであっても、全員の興味関心を高められるわけではない。
- 準備が大変
→前日にイラストを切って裏にマスキングテープを張るという作業で、1人15枚✕4人でしたので。
でも、子どもたちは手本をよく見て課題を理解して活動に参加してくれましたが、バッチリ実態に対応していたのは、4人中2人でした。
4人中2人は、活動をよく理解しかつ、大好きなイラストだったので、シールを集めてシートに張るというのを教員の手伝いがなくても1人で行っていました。
あとの2人ですが、1人は楽しそうだけど、シートにあるイラストと同じイラスト集めるという課題を理解していない子、もう1人は全く興味を持たず教員と一緒にイラストを集めるという子でした。
おわりに
たった4人でも全員にぴったりな授業考案はなかなか難しいものです。
そうした実態の中で全員が興味を持てる活動を考える過程がしんどくもあり、面白かったりもするんですよね。
宝さがしゲーム学習指導案 細案

本サンプルは、児童の実態(ペルソナです。)題材の意義価値、指導観、単元計画、本時の展開を載せた細案です。
引用できる部分はしていただいて構いません。
サンプルは下のボタンからダウンロード可能です。(Word文書)