結論
砂絵は、ザラザラとした感触を楽しみながら制作できるので、学習指導要領の1段階の目標にピッタリです。本記事では、以下のお悩みを解消します。
- 特別支援学校で行う図工が思い浮かばない。
- 砂絵をどのように展開しようか悩んでいる。
- 砂絵は学習指導要領に則ることができるのだろうか。
はじめに
特別支援教育でどのように図工を展開していけばよいか困っていませんか?私は去年、図工を担当して、めちゃくちゃ考えさせられました。
というのも、特別支援学校で工夫を怠ると、どれも似たような作品になってしまうか、大人の手が多く加わってしまうかのどちらかです。
去年は、指導要領と図工に関する書籍を読み漁り、100円ショップに通い、何とかチームのみんなで年間カリキュラムを作成することができました。
そこで、ふと思い出したのですが、教育実習のときも「図工は大変なんだよ~」と担当の先生がおっしゃっていました。そこで「特別支援教育でできる図画工作シリーズ」を投稿していきます。みなさんのアイディアの一助になることを願っています。
図画工作の目標と砂絵の関係
特別支援学校学習指導要領の図工のページでは、3つの目標が示されています。
- 形や色などの造形的な視点に気付き、表したいことを合わせて材料や用具を使い、表し方を工夫してつくることができるようにする。
- 造形的なよさや美しさ、表したいことや表し方などについて考え、発想や構想をしたり、身の回りの作品などから自分の見方や感じ方を広げたりすることができるようにする。
- つくりだす喜びを味わうとともに、感性を育み、楽しく豊かな生活を創造しようとする態度を養い、豊かな情操を培う。
砂絵の特徴はザラザラとした感触と光が当たってキラキラ光ることにあります。例えば、ベースは他の画材を使い、一部だけ砂を使うという工夫が考えられます。
この場合、子どもに「なぜ、その部分に砂を使用したのか」と尋ねると、言語化する過程で砂の特徴をどのように捉えて、表現したのかが見えてきますし、こうしたやりとりが、感性や創造性をより一層磨くことにつながります。
重度の知的障害があるお子さんにとって、皮膚から情報を得ることは脳の発達のうえで必要な経験です。
学習指導要領1段階の目標アを見ると「形や色などに気付き、材料や用具を使おうとするようにする。」とあります。この文言には、「目で見る、手で触れる、力を加えて可逆性を楽しむ」という意味まで含まれているので、砂を用いた授業なら必ず意識したい項目です。
やり方と準備
私が実際に授業で行ったやり方をご紹介します。まず、今回の砂絵は「動物園をつくろう」という単元の一部だったので、動物で統一しました。また、児童の実態として、言葉は喃語が出ているくらいの発達だったので、砂の感触を楽しむことをメインにしつつ、動物を作っていることを意識できるような目標にしました。
準備
- ラベルシート
- カラー砂
- ハサミ
砂を貼りつけるのに、接着剤でも構いませんがおすすめはラベルシートです。100円ショップに売っています!ラベルシートはいわゆるシールのようになっているので、裏の紙を剥すと粘着部分が出てきます。砂もしっかり貼りついてくれます。
今回は、事前にワニ、ゾウ、ヘビの3種類の動物に切って置き、当日は2種類子どもに選ばせて砂絵を行いました。自分の好きな色を複数選ぶ子や1種類で描く子、砂のさらさらとした感触を楽しむ姿などが見られました。
やり方
上の写真のようにパワーポイントで「動物をさがせ!」を行い、ジャングルなどに潜む動物たちを見つける遊びをしました。
子どもたちは、一生懸命探して見つけると指で示してくれました!
サファリパークを回っているような感覚になってほしいと思っていたので、トーキングエイドで、見つけた動物の鳴き声を録音して鳴らすなどして、できるだけ臨場感がでるような演出にしました。
「動物を探せ」のあとは、事前に作っておいた3匹の動物と好きな色の砂を選ばせて制作にとりかかりました。
学習指導案略案
学習指導案の略案です。
私は児童の実態を加味して、教員が事前にラベルシートを動物の形に切りましたが、本指導案では、自分で好きな動物を選んでその形にラベルシートを切るという授業も入れて2次構成の指導案です。あくまで、1つのアイディアなので、この指導案を参考に発展させていただければ嬉しいです。
以下のボタンからからダウンロードすることができます。(Word文書)
COLUMN 見たて遊び
特別支援学級で行う場合、初めに自由に砂をラベルに貼りつけ、色や砂の混ざり方から切ったり貼ったりしながら創造を膨らましながら作品を制作する造形遊びに発展させる方法もあります。
今回は動物にしましたが、「宇宙」や「遊園地」などテーマを決めてコラージュのようにしても面白いかもしれませんね!
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