- 特別支援学級をもつことになったけど、教育的ニーズが多くて人手が足りないと感じている方
- いろいろ試してみたけど、あまりうまくいかなかった方
- 新しい視点がほしい方
はじめに
特別支援学級はうまく学級経営ができているでしょうか。ここ最近の特別支援教育のニーズの急速な高まりから、特別支援学級がパンクしそう、ぎりぎり教育レベルを保っているという学校も増えてきたように感じます。特別支援教育の難しさもありますし、そもそも人手を増やしてほしいとも思いますよね。また、学校の先生方が忙しすぎてゆっくり勉強する時間も取れないということも課題かもしれません。
そこで、今回は特別支援学級で使えるテクニックや支援方法を2つご紹介致します。
これだけは絶対に怠ってはいけないたった1つの実態把握
実態把握とは、子どもたち1人ひとりの困難や必要な支援を関わりながら観ていき指導に活かすことです。
多くの方が引き継ぎ時に「どんなトラブルがあったか」「相性のいい子と悪い子」「保護者との関係性」「交流級への関心」「学習状況」を主に話す事柄だと思います。
これらは大切なことです。決して落としていいものはありませんが、これらに加えて必ず聞いておきたいことがあります。それは、
「夢中になるものは何か」
です。
これを知れば知るほど、指導しやすくなりますし、子どもとの関係性も築きやすくなります。
もし、見つからない場合は、じっくりと(でも、なるべく早く)子どもと一緒に探しましょう。
特別支援学級トラブルのあるある2つ
- 自由時間中にトラブルが頻発
- 勉強をしたがらない
この2つは本当によくあることですよね。あの手この手と試したり、繰り返し指導をしていると思います。もしかしたら、新しい視点が手にはいるかもしれません。1つずつ見ていきましょう。
1.自由時間中にトラブルが頻発
自由時間はなにも昼休みや合間の5分だけではありません。特別支援学級のお子さんは集中できる時間が短いこともあるので、早めに授業を切り上げることもしばしばあります。
そのときに空いた、10分程度の時間にトラブルは起こりやすいです。というのも、空き時間に自分のやりたいことが見つかっていない場合、人にちょっかいをかけるという行動が起こりやすいからです。
では、この微妙な空き時間をどのようにデザインすればトラブルを減らすことができるでしょうか。
ここで、「実態把握」の話を思い出してください。夢中になれることに時間を使うのです。
例えば、車が好きならパンフレットを見る時間に当ててもいいでしょう。工作が好きならば廃材を集めて図工の教科書やネットで手本となるものを作ってもいいと思います。
なんなく次の活動まで時間が余ったけど、遊ぶには時間が足りないというときに、なにをやるのかを「その子が好きなこと」をベースに考えてみましょう。
勉強をしたがらない
好きなことを見つけて隙間時間にさせることにはおおむね賛成していただけると思います。しかし、こんな疑問が湧かなかったですか?
「好きなことばかりしたいと主張して、他のやるべき学習に手をつけなくなるのではないか?」
当然このような疑問が湧いてくると思います。現時点でその疑問は的を射ています。そのため、次のような支援が必要です。
ご褒美と学習の必然性
子どもたちにとって勉強するということの意味はなんでしょうか。
言葉を借りるならば、生きる力を育むことですよね。具体的に言えば、生活で必要な知識やスキルを学びます。
しかし、それは、将来に役立つ話です。子どもたちはそんな長い目で物事を捉えることはできません。
だから、「先生たちに言われたからやる。」という構造になってしまいがちです。
ただ、学習指導要領や保護者の願いを考えるとある程度は仕方ありません。好きなことだけに取り組むなんてことはあり得ませんよね。だからこそ、夢中になれることが必要です。
これは、いわゆるご褒美を与えるという古典的なやり方ではありますが、やはり効果的です。
○○が終わったら、これができる。ということで活動をやるメリットになります。苦手なことに取り組むときこそ、明確に終わった後のメリットを強調しましょう。
それでもやらない場合、子どもの中で学習に取り組む必然性を見いだせていない可能性があります。
この必然性を生むために、1つは先生がどのように役立つのかを説明することでしょう。ですが、発達段階によっては理解できないかもしれません。
ここで、一番最初に述べた「夢中になれること」が役に立つかもしれません。簡単なことではありませんが、好きなこととやるべき学習を結びつけるのです。
例えば、先程、あまった時間で車のパンフレットを見る時間にしてもよいと書きましたが、自分でフリー素材を集めてパンフレットを作ってもいいかもしれません。
パンフレット作りで必要なスキルはなんでしょうか。考えられるのは、
・レイアウト・文字/文章・何枚刷るのか
など、このように好きなことをベースに学習に発展させることは先生方が得意な領域ではないでしょうか。
おわりに
自由な時間を上手に活用できない子は多いです。現代は娯楽で溢れています。与えられるものの多くはやり方が明確です。
だから、特別支援学級の教員は自由時間もデザインする必要があるのです。もちろん、全ての子どもに当てはまる訳ではありません。また、勘違いしてほしくないのは、自由時間も教員が指示するという意味でもありません。あくまでも、トラブルを未然に防ぎ自分でやることを見つけるという支援だととらえてください。