【PECS】自閉症児のカードによるコミュニケーションを指導する方法

結論

カードを用いたコミュニケーションは、認知を高めるとともに、コミュニケーションを円滑にします。本記事は、以下のお悩みを解消します。

  • カードによるコミュニケーションの指導方法が知りたい
  • カードによるコミュニケーションのメリットを知りたい
  • カードによるコミュニケーションが言葉の獲得の妨げになるのか不安

はじめに

知的障がいがあり、発語のないお子さんにとってコミュニケーション手段は、ジェスチャーや指差し、表情、泣く、怒る、叩く、写真やイラストカードなどがあります。

今回は、写真やカードを使ったコミュニケーションを獲得するための指導方法をご紹介します。また、本記事は、pecs(ペックス)という方法をもとにしています。

カードを用いたコミュニケーションスキルとは

発語のないお子さんにとって、相手に自分の気持ちを伝えることは1つの大きなハードルになります。お子さんがうまく伝えられず、じれったくなって癇癪を起こす場面を日々乗り越えている教員や保護者の方も多いと思います。

しかし、やりたいことを確認したり、次の行動を示したりしたいときに写真を使うことで、スムーズにコミュニケーションをとることができるようになり、落ち着いて行動できることが増えるのです。

カードによるコミュニケーションの方法

写真やイラストカードの使い方は、指差しかカードを相手に渡すことです。

事例1 喉が乾いてお水がほしいことをカードで伝える方法

低学年の子で喉が乾いたとき、お水がほしいけど、自分で水を汲むことができないとします。

その場合、冷蔵庫にお水を飲むことを表す写真を貼っておき、喉が乾いたらこの写真を大人に渡すように教えます。

このように、大人の手助けがいる場面のカードはおすすめです。

事例2 ゲームをする時間をコントロールする

ゲームはある程度管理しないとついついやりすぎてしまいます。そこで、ゲームのイラストカードをつくって、どのタイミングでゲームができるのかを伝える手段としても利用できます。

例えば、お昼ごはんの後、1時間だけ許可するのであれば、お昼ごはんのカードとゲームのカード、それから、タイマーを用意しておきます。

子どもが、「ゲームをしたい」と伝えれば、お昼ごはんのカードを見せてお昼ごはんを食べてからだよと伝えましょう。

補足

できれば、ゲームをした後の予定も組み込んでおきましょう。ゲームの後やることがないのに、「約束した時間になったからおしまいだよ」、という理屈は通りずらいので、癇癪につながりやすいです。

カードによるコミュニケーションのメリット2つ

1つ目のメリットは、円滑なコミュニケーションが可能になることです。

教員や親は、長く付き合うので、ある程度その子の要求やこだわりを理解することができます。しかし、初めてその子と関わる人からすると、ジェスチャーや行動だけでコミュニケーションをとることは難しいです。

そうした場合に、カードによるコミュニケーションが身に付いていると、その子をよく知る大人以外と関わるときも伝えることができるのです。

2つ目のメリットは、認知が向上することです。

知的障がいのあるお子さんにとって、物に名前があることに気づいたり、覚えたりすることが難しい場合があります。

個別の学習で、物の名前を覚えさせる指導も考えられますが、最も効率よく身に付けさせるには、日常的に、言葉と物を一致できるように働きかけることです。

写真カードを使う場面は、その子にとって興味のあることや必要なことが多いため、身に付きやすいのです。

また、このコミュニケーションを繰り返すことで、物に名前があることに気づいたり、覚えたりする過程で、認知機能を高めることにつながります。

カードによるコミュニケーションの指導方法

カードを使ったコミュニケーション手段の獲得は、指導者側に簡単な技術が必要です。すぐに習得する子もいますが、発達段階が1歳2ヶ月くらいだと、基本的に、2人の大人が必要です。

やり方:お水を飲むときカードを渡すスキルを獲得させる場合

基本的に2人体制でスキル習得を目指します。大人①は、子どもと一緒にカードを操作する人。大人②はカードを受け取ってお水を渡す人です。

 

  1. 大人①は、子どもが水を欲しがっている素振りを見せたら、お水を飲むカードの貼っている場所までつれていきます。
  2. 子どもの手を操作して一緒にそのカードをとり、大人②に渡します。
  3. 子どもからカードを渡された大人②は、カードを受け取り、「お水が飲みたいんだね。」と伝えてから、お水を渡します。
  4. カードで伝えられたことや、気持ちが伝わったことを認めてほめましょう。

 

このカードによるコミュニケーションは最初は時間がかかります。いつも、なんとなくの意思表示で、伝わっていたものが、いきなりカードというワンクッションはさむので、混乱するかもしれません。

しかし、1個でも、カードのコミュニケーションを受け入れることができれば、さらに広がっていきますし、こどもも要領がわかってくるので、覚えが早くなります。

注意点

カードを用いたコミュニケーションは、認知が低いお子さんでも、おこなうことができるようになります。

慣れてくると、子どもは要求が通るシステムを理解し、自分でカードを持って来て、要求を伝えることができるようになります。

しかし、よく起こることとして、何かしら物を渡せば要求が通ると理解してしまい、なかなか決められたカードを渡すことができないお子さんもいます。その場合は、次のように対応してください。

カード以外の物を持ってきて大人に渡した場合、物を一旦受け取りますが、要求は通しません。

今度は、別の大人が、カードのところまでつれていき、カードを持つように促します。

何か物を渡せば要求が通ることまで理解できている場合は、カードを持てば、大抵自分から大人にカードを渡すことができます。

カードを持ったままの場合、まだ、身に付いていないかのどちらかなのでカードを一緒に大人に渡しましょう。

カードを用いると、言葉が出なくなるという意見について

写真やカードによるコミュニケーションを行うと、その便利さ故に言葉を覚えようとしなくなるという意見があります。

一方で、今回ご紹介したように、写真によるコミュニケーションをすることで、写真と言葉が結び付き、言葉の獲得につながるという意見もあるのです。

つまり、カードのコミュニケーション推進派と非推進派でわかれています。

ある教育大学の教授によれば、写真やカードでのコミュニケーションのせいで言葉が発達しないという見解は間違っていると科学的に証明されているとおっしゃっていました。

また、カードを用いたコミュニケーションの開発者も、1年継続した結果、発語がみられるようになり、語彙が増えたことを確認しています。

一方でカードによるコミュニケーションを否定する意見はみられませんでした。

もちろん、私の調査不足や今後の研究で覆ることもあり得ますが、現在はカードを推進した方がよいと考えます。

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