【特別支援教育】言葉が話せないお子さんの言葉の発達を促す研究をご紹介!

 

結論

知的障がいのお子さんが、将来言葉を使っておしゃべりができるかどうかはわかりません。しかし、言葉を発するために行うアプローチ方法は、さまざまな研究や書籍があります。本記事は以下のお悩みを解消いたします。

  • 言葉を発するための指導方法を知りたい。
  • 言葉を発しなかったお子さんが、しゃべれるようになったという事例を知りたい。
  • 言葉の発達に関する研究が知りたい。
  • 言葉を発するかどうか、認知発達の基準を知りたい。

はじめに

「少しでもお話ができるようになってほしい。」

この言葉は、多くの保護者が胸に抱いている想いです。

私は、言葉の発達が遅れている子にどのようにアプローチすれば言葉が出るようになるのか、書籍や論文をあさりました。

私の仮説は、「子どもの認知を伸ばせば言葉を話すようになる。」でした。しかし、この仮説は、間違いではありませんでしたが、芯はとらえていませんでした。

調べていくうちに、その子が言葉を話せるようになるために必要な認知が育つかどうかも、特別支援学校教諭として考えなければならないことだと気がつきました。

書籍を参考に、「順を追ってここまで育てれば言葉を話すための認知は育っている。」という1つのゴールは理解することはできました。しかし、そのゴールにいつたどりつくのか、本当にたどりつくのかはわからなかったのです。

このように、言葉の発達に関して曖昧さは否めませんが、今回は、私の経験と調査結果をもとに解説していきます。

まとめ 言葉を獲得するためのスタートラインになる課題

私が、言葉の獲得をテーマに調べてわかったことのまとめです。

認知発達の出発点

知的障がいのあるお子さんの認知発達の出発点は、自分以外の人や物の存在に気がつくことです。

人や物の存在に気がつくために必要な課題は、コインを貯金箱にいれたり、棒を差すという課題です。はじめは手を添えて一緒に行い、少しずつ支援を減らしましょう。

常同行動は避けた方がよい?

自閉症・知的障がいのお子さんの中には、身体を揺すったり、くるくる回るなど、常に感覚刺激をいれている場合があります。

これを常同行動といいます。このような自分に刺激をいれる行動が多いお子さんの場合、人や物の存在に気がつくということが苦手なことがあります。

常同行動は、不安な時や何もやることがない空白の時間があると出現する傾向があるようです。

私の見解ですが、なるべく常同行動を起こさないように、空白の時間を作らず、お子さんが興味ある遊びを(粘土やお絵描き、プレイルームなど)させた方が認知が発達すると考えています。

全ての基本  マッチング課題

マッチングは、相手が提示したものと同じものを選択できるかという課題です。

言葉の発達には、聞いたことをとらえて、真似をするということが大切です。その真似をする力の原点はマッチング課題にあるのです。

マッチングが基礎となり、言葉を発するために必要とされる課題に発展していくことができます。例えば、大小の比較、色と形の識別、手先の器用さ、音への興味、記憶がそうです。これらの課題もスモールステップで子どもに合わせた課題を作る必要があります。

言葉を獲得するために目指すべき課題

最終的には、抽象的な思考ができれば言葉がでるといわれています。

抽象的な思考とは、複数ある物を1つのカテゴリーに分類する能力です。

例えば、青色のスニーカーと赤色のハイヒールを同じ靴という枠組みにとらえることができるかどうかという能力です。

これができるということは、色や形だけでなく、その機能を理解していることがわかります。靴なら形や色はどうであれ、履くものとしてとらえることができるということです。

この認知発達に加え、今まで大人に話しかけられたり、テレビを通して聞いてきた言葉が相乗して言葉につながります。

参考書籍・論文紹介

言葉に関して言及された書籍と論文をご紹介します。

感覚と運動の高次化からみた子ども理解 宇佐川浩著

この本は、言葉に限らず子どもの発達と発達に合わせた課題を示してくれます。発達段階を詳しく記すと共に、発達段階に応じた、個別課題をイラストつきで示しており、大変わかりやすく頼もしい一冊です。

この本は、一見難しそうですが、まったくそんなことはありません。言葉は優しく簡潔です。

特別支援の専門性を高めるならこの一冊は必読です。

新発語プログラム 石井聖


この本は、発語に至るまでに必要な、個別課題を示してくれています。文字も大きく、順番通りに示しているので、わかりやすいです。

『感覚と運動の高次化からみた子ども理解』が合わないなら、この本から読んでもよいでしょう。

『発達障害児の言語獲得  応用行動分析的支援』石原幸子 佐久間徹 著


この一冊は、”ことばの獲得は難しいかもしれません”と告げられた子を対象に応用行動分析を用いたアプローチで、発語に至るまでを示しています。

具体的なアプローチ方法は、対象児の言った発声を大人が真似したり、言葉を補って返したりするというシンプルなものですまた、経験を増やすようなセッションも行っています。

結果、セッションを重ねると徐々に舌足らずでも言葉を発することができるようになりました。

セッションは、2歳から約2年ほど続けたそうです。セッション終了後も言葉を次々と獲得し、中学校に上がる頃には、たくさんの言葉を覚え、認知も育っています。

この本に記されている対象児は1人だけなので、参考程度にとどまる研究だと思いますが、アプローチ方法や、考え方はとても勉強になりました。

慶應義塾大学の論文

こちらの論文では、”年齢が8歳11ヶ月、新版K式発達検査2001の検査結果は、2歳6ヶ月を示した児童”を対象に検証を進めている。自分から発する言葉は、”テレビ見る”、”おかし”などの数単語を希に話す程度でとのことでした。

こちらの研究では、「運動機能を高めれば発語機能を発達させることができる。」という仮説に基づいて行われています。

以下の3点を発達させるようにアプローチしています。

  • 長く発声する。「あー」「ふー」
  • 大きな口をあける
  • 大きな声を出す。

これらの機能を高めるために、手本を示したり、実験者が対象児の発声を真似(逆模倣)をしたりします。

先ほど紹介した、『発達障害児の言語獲得』でも子どもの発した言葉を大人が真似をするという逆模倣が使われていました。

また、定型発達の乳幼児に対しても、親や、保育士が子どもの言葉をそのまま真似をする光景はよくみられます。

 

文献

石塚祐香  山本淳一(2016)『自閉症児に対する逆模倣・拡張逆模倣を用いた発話器官の運動トレーニングの効果に関する検討 : 事例研究』

慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要 第 81 号

 

おわりに

「これをすれば言葉を獲得することができる。」という絶対的なものはありません。

中には、一桁の足し算ができる子でも言葉を発しない子もいれば、足し算ができないが、3単語くらい獲得しているお子さんもいました。

この事例からもわかるように、多種多用です。

私たち大人が最も考えるべきことは、その子にとっての幸せです。

幸せとは、人との関わりで得られるものもあれば、好きなことに没頭することで得られるものもあります。

そのためのコミュニケーションは言葉である必要はありません。もちろん、言葉があれば便利ですし、お話は楽しく、充実したものになるでしょう。

しかし、言葉を獲得する段階で辛い思いをするくらいなら別のコミュニケーション手段を獲得するようにシフトする方がいいと考えます。

私は、言葉獲得のアプローチを無理のない範囲で進め、同時に、いろいろなコミュニケーションを経験させるでしょう。

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