- 授業に興味をもってもらうための導入で苦戦している方
- 学級経営のスタートを成功させたい方
- 保護者との関係を良好にしたい方
はじめに
教員の研修でよく、「子どもとの信頼関係が大切です。しっかりと相手の話を受け止めて聞きましょう。」こんなことを言われますよね。
もちろん、間違っていません。しかし、どうやって信頼関係を築くことができるのかということまでは教えてくれません。
だから、自分で学ぶしかないのです。今回ご紹介するこの本は、科学的に研究されたデータを集めています。必ず、あなたの授業や学級経営に役立ちます。
影響力の武器の内容
- 返報性
→お返しに頼みごとくらい聞いてあげないと!
- 一貫性
→自分の主義主張や行動にブレがあったらカッコ悪い
- 社会的証明
→周囲と同じだと安心する
- 好意
→自分と共通点がある人は信頼できる
- 権威
→知的な人の言うことは正しいに決まっている
- 希少性
→手に入にくいものほど価値が高いと思い込む
以上、6つの観点から本書は構成されています。
ぼくたちは、自分たちの意思でたくさんの選択をしていると考えています。
しかし、それは単なる思い込みで、ぼくたちの意志決定は、上記の心理的テクニックに左右されることがとても多いのです。
もしあなたが、「説得力を上げるためには、根拠を提示すればよい」と思っているのなら、この本を読むべきです。
また、もし、「信頼関係を築くには、じっくりと時間をかけなければならない。」と思っていたら同じく、この本を読むべきでしょう。
説得力も信頼関係も知識を得れば、コントロールをすることが可能になります。より早く信頼関係を築き、確実に説得することができるようになるのです。
学級経営でどのように活かすか
上記でのべたことは、何となく学級経営でも活かせそうだと感じると思います。実際に、活かすことができるでしょう。
今回は、『コミットメントと一貫性』という章を参考に、学級経営に活かせるポイントをご紹介します。
この一貫性の法則をうまく使えば、子どもたちは、「先生に注意されるから。」という、受動的な理由ではなく、「自分が学習規律を守る必要があると思うから守る。」というように変化します。
一貫性とは
私たちは、態度をコロコロ変えるような人物を信用することができません。これは、自分にも当てはまります。つまり、自分の心の安定のためにも主義主張を一貫させようとするのです。
ですが、残念なことに、この一貫性は他人にコントロールされてしまう可能性があります。
このように、他人から言われた、抽象的な性格をあなたの脳は無意識に受け止めてしまいます。そして慈悲深い人という一貫性を保つために、寄付をしてしまうのです。
つまり、一貫性は後から他人が付け足しても、効果を発揮してしまうのです。
一貫性の法則を学級に活かす例
では、あなたが担任として、どのような子どもたちに育ってほしいと考えますか?一貫性の法則を使えば、それが容易になるはずです。
もっとも簡単な方法は、影響力のある子に、手相をみせてといって、あなたは優しさもあるし、一方リーダーシップもあるねといえば簡単です。
なんせ、大人でも引っ掛かってしまうのですから。しかし、このやり方は騙しているともいえますね。
そこで、次のようなやり方はいかがでしょうか。
教室をきれいな状態に保ちたいとします。きれいに保つためには、ごみを床に落とさず、ゴミ箱にごみを捨てたり、机やロッカーを整理整頓したりする必要があります。
どうすれば、先生が注意せずとも教室をきれいに保つことができるでしょうか。
ごみはゴミ箱に捨てるというルールを設けます。ですが、たいていの人間は数日間だけ守ることができ、そのあとはうやむやになります。
そうさせないために、ルールを定めた数日間で、ゴミ箱に捨てるという行動を見つけては、「きれい好きだね。」という声かけをします。
こうすることで、「自分はきれい好きだからごみを散らかさないようにしている。」と思うようになるのです。
この法則は、さまざまな場面で使えそうですね。
おわりに
影響力の武器を身に付けることができれば、望ましい行動への誘導が短時間で可能となります。
しかも、その誘導に相手は気づくことができません。それどころか、自分の意志で行動していると思っています。
学級経営が得意だと言う方は、もしかしたら自然にこれらのテクニックを使っているのかもしれませんね。
例えば、道端で寄付をお願いされたとします。普段のあなたは断るか1円から10円程度の寄付しかしないはずです。
しかし、たまたま占い師に、「あなたは慈悲深い人ですね。」と言われると、その後寄付をお願いされたとしたら、より多くの金額を寄付をしてしまうのです。