【脳科学×教育】授業で子どもの主体性を引き出す科学的な方法4選

結論

主体性を発揮している脳の状態とは、セロトニンとドーパミンが分泌している状態です。セロトニンは、基本的な生活習慣で、ドーパミンは、導入のひと工夫で分泌させることが可能です。本記事は以下のお悩みを解消します。

  • 主体性について改めて考えたい
  • 子どもたちが主体的に行動しているときの脳の状態を知りたい
  • 子どもたちを主体的にさせる具体的な方法が知りたい。

主体性とは

主体的とは広辞苑で引くと、”他のものによって導かれるのではなく、自己の純粋な立場において行うさま。”とあります。自分から考えたり行動したりすることで間違いないようですね。

もっと具体的に落とし込むと、主体的な子どもの姿とは、できないこととできることを明らかにして、知識を得ようとしたり、技術を高めようとしたりする姿だと考えます。

脳科学的な主体性

脳科学的に主体性とはどういう状態かと言うと、ドーパミンとセロトニンが分泌されている状態だと考えられます。詳しくは以下で述べますが、簡単に言うとドーパミンは、チャレンジ精神ホルモンセロトニンは、粘り強さホルモンです。

セロトニンは不安の解消

セロトニンは不安の解消や情動のコントロールに必要な神経伝達物質です。自分の感情をコントロールして、上手に友だちと関わったり難しい課題にも粘り強さを発揮して頑張ったりするために必要です。

このようにとても重要なホルモンですが、意識しないと不足しがちになることで知られています。

セロトニンは規則正しい生活習慣や適度な運動によって分泌されます。そのため、基本的にほとんどの子どもたちは十分セロトニンを分泌することができています。しかし、中には家庭環境が悪く規則正しい生活を送れていないケースもあります。

家庭環境が安定していない子どもが無気力で、情動をコントロールできない言動で問題になりやすいのは、セロトニン不足が原因の1つだと考えられます。教員は家庭に働きかけていくしかないので大きな改善は正直難しいです。

生活習慣を整えるだけで、十分なセロトニンが分泌され子どもの成長を助けてくれるのは間違いありませんが、それが難しい子にとってはどうしようもできない課題である場合も少なくないのです。

そこで、少しでも学校でセロトニンが分泌されるようにする方法をご紹介します!

セロトニンは、軽い運動や日の光を浴びることでも分泌されるので、授業前にストレッチをしたり、朝の会の前に外を眺めて日の光を取り入れるなどちょっとした工夫で1年後には変化している可能性があります。ぜひやってみてください。

ドーパミン

ドーパミンも重要です。ドーパミンは私たちが欲している物を獲得する意欲を高めてくれるホルモンです。例えば、ゲームで敵を倒したり、レベルがアップしたり、アイテムを獲得したときに興奮しますよね。いわゆる達成感に満ちた状態です。この感覚の正体がドーパミンです。

他にも知的好奇心を刺激する(新しい知識を手に入れようとする)こともドーパミンを分泌することにつながります。

つまり、ドーパミンを分泌させるには「もっとほしい」と思える状況を作り出す必要があるのです。

そして、一度何かを獲得してドーパミンが分泌されれば、脳はまたドーパミンを分泌させるために同じ行動をとるようになります。パチンコがよい例です。あれほど、簡単で強烈にドーパミンが作用するものはそうありませんね。

少しまじめな例を出すと、守株待兎という故事成語のお話がしっくりきます。次のような内容です。

守株待兎あるとき、うさぎが切り株にぶつかり死んでしまいました。それを見ていた男は、うさぎを何の苦労もせずに獲得することができました。次の日からその男は、畑仕事をせずに、切り株を見張っていましたが、それ以降、切り株にぶつかって死ぬ動物はおらず、畑は荒れ放題になってしまったとさ。

つまり、簡単にうさぎを得たことでドーパミンが出てしまったのです。人は報酬を得れば、次も同じ行動をとって報酬を得ようとします。その行動が簡単であればあるほど、ドーパミンは強く作用します。この場合、待つという行動がドーパミンの働きを強くしてしまいました。

物語とはいえ、ぎくりとした人も多いはずです。

パチンコやゲームがハマりやすい理由もなんとなくイメージできたと思います。次に具体的に主体性を引き出す方法をご紹介します。

主体性を引き出すための実践

授業では導入が大切ですよね。この導入で主体性を引き出す仕掛けを行い、展開に持っていくことで、より積極的な発言や対話が生まれやすくなるでしょう。

自分にとって有益(おもしろいそう)な情報だと思わせる

あなたは「ゲームやアニメのことならすぐに覚えられるのに……。」と感じたことはありませんか?これも、ゲームやアニメにはドーパミンがでやすくなることが関係しています。ドーパミンは記憶力を高める働きもあるのです。

ということは、授業の導入でドーパミンを出す仕掛けを作ることができれば子どもたちの記憶力や集中力を上げることができ学力をアップさせることも可能なのです。

例えば、算数や理科でたまに、日常的な現象と今日の学習を結び付けて解説してくれる先生がいませんでしたか?

人間は、以前獲得していた知識と、今習っている知識が結びつくと脳が反応してドーパミンが出ます。だから、日常的によく見る現象と授業内容がマッチすると子どもたちの興味を高めやすいのです。

目標や取り組む内容が明確

どのようにしたら、課題を達成したと言えるのか。到達すべき点がどこなのかが明確だと自分から取り組みます。

想像してください。

もし、100メートル走のタイムを計るときに、ラインもゴールもなければ全力で走ることができるでしょうか。また、「先生どこまで走ればいいんですか?」と聞いて、「自分で考えろ」なんて言われれば、やる気があがるでしょうか。

どのルートをどこまで行けばゴールなのかがわかるから私たちは取り組む意欲が湧くのです。

皮肉ではありますが、詰め込み型の教育がある程度うまくいった理由もここにあります。受験勉強では、やるべき科目と範囲が明確です。また、志望校によって必要な点数がほぼ明確なので子どもたちは頑張ることができるのです。

進捗がわかる

なんとなく目標を設定し、なんとなく目標に向かって努力するだけでは十分にドーパミンは分泌されません。

私たちの脳は、何かを獲得したときや獲得しそうなときにドーパミンが出てやる気や集中力を高めてくれます。そして、目標達成に近づけば近づくほどドーパミンが分泌されやる気を高めてくれるのです。

だから、「進捗状況の把握」が大切なのです。目標に対してどの程度進んだのか、目標達成まではどのくらい差があるのかを明確にすることでよりドーパミンを分泌してやる気を高めてくれるのです。

子どもに裁量権がある

自分で選んだり、何かを決めることができるという環境はモチベーションを生みます。また、人に言われたことよりも、自分で決めたことの方が守りやすいのは誰にでも身に覚えのあることだと思います。

授業で子どもたちに裁量権を与えられるとすれば、例えばペア学習か、4人グループで話し合うかを選ばせることができるでしょう。

また、どのように話し合いを進めるかを決めることもできるかもしれません。付箋を用いて意見を出し合う方式やワークシートを用いた進め方など、今まで経験した話し合いの形式をグループごとに選ぶ学習もモチベーションにつながる方法です。

主体性を補助する要素

以上が、具体的な方法でした。しかし、主体性は子どもたちそれぞれの性格や考え方に左右されることも多いです。子どもたちに固定化した考えではなく、自分たちは成長していけるという考え方ができるようにしていくことも教育に必要なことでしょう。

『失敗しても大丈夫』というマインド

人間は失敗することを極度に恐れます。大人でもそうなのですから子どもも同じです。そのため、失敗することの価値を十分に理解させる必要があるでしょう。学級の中で失敗しても誰も責めないし、馬鹿にされない。という雰囲気を作ることは大切です。

特に体育の時間は、失敗してもすぐに再チャレンジすることが可能です。他の科目でも失敗してもすぐに再チャレンジできる環境用意して、失敗を次に生かすという気持ちを作るよう言葉をかけていきましょう。

運動をする

運動をするとセロトニンやドーパミンを分泌させるのでストレスホルモンを低減したり、脳の発達を促すことがわかっています。ただし、低から中強度の運動を長く続けると逆にストレスホルモンが分泌されてしまうので注意が必要です。

校内研究について

主体的・対話的で深い学びとしてアクティブラーニングが提唱されました。これを受けて、学校単位で行われる研究もどのように主体的に子どもたちが学んでいく姿を作ることができるだろうと、授業改善に取り組んでいます。

私自身、主体性を育み対話を通した授業形式には賛成です。研究も必要だと考えています。しかし、今日ご紹介したように、ある程度興味関心を高める方法は明らかになっています。現状では教員の経験則だけで授業をつくり、研究している学校が多いと感じていますが、あなたの学校ではいかがでしょうか。

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